アフィリエイトを長く続けている人であれば、一度くらいはこんな感覚を持ったことがあるのではないでしょうか。
「結局、広告主から見ればアフィリエイターなんて下請けなのではないか」
もちろん、すべての広告主がアフィリエイターを見下しているという意味ではありません。
アフィリエイターを重要なパートナーとして扱う広告主もありますし、ASP担当者を通じて積極的に情報提供を行ったり、特別単価を設定したりする企業もあります。
それでも、アフィリエイトというビジネスの仕組みそのものを見ると、広告主とアフィリエイターの立場が完全に対等とは言いにくい側面があります。
なぜなら、アフィリエイターがサイト制作、記事制作、SEO、広告、SNSなどにどれだけ費用と時間をかけたとしても、広告主はその投資を保証してくれないからです。
- 成果が出なければ報酬はゼロ。
- 成果が出ても承認されなければゼロ。
そして、ようやく売れるサイトを作ったとしても、広告主が案件を終了すれば、その瞬間から売上がなくなることもあります。
これがアフィリエイトというビジネスです。
広告主にとってアフィリエイトは非常に都合のいい広告モデル
広告主の立場から考えてみると、アフィリエイト広告は非常に優れた仕組みです。
通常の広告であれば、先に広告費を支払う必要があります。
- Google広告に100万円。
- SNS広告に100万円。
- 雑誌広告に100万円。
しかし、広告費を使ったからといって必ず商品が売れるわけではありません。
ところがアフィリエイトの場合、基本的には成果が発生して初めて報酬を支払います。その成果を発生させるまでに必要となる、
- サイト制作費、
- 記事制作費、
- サーバー代、
- ドメイン代、
- SEO費用、
- 取材費、
- 検証費、
- 広告費、
- 人件費、
これらの多くはアフィリエイター側が負担しています。
広告主から見れば、自社で営業社員を雇わなくても、全国のアフィリエイターが自分のお金で集客してくれるとも言えます。
しかも売れなければ報酬を払わなくていい。非常に合理的な仕組みです。だからこそ、アフィリエイトという広告モデルは多くの企業に利用されています。
しかし、この仕組みを逆から見ると、
アフィリエイター側が大部分の先行投資リスクを負っているということでもあります。
100記事作っても広告主には関係ない
例えば、ある広告案件を売るために100記事を作ったとします。
1記事の制作費を2万円とすれば、それだけで200万円です。さらにサイト制作費、SEO費用、運営費を含めれば、それ以上の投資になるかもしれません。
半年、1年とかけてGoogleの検索順位が上がり、ようやく毎月成果が発生するようになった。ここまで来れば、アフィリエイターとしては、「やっと投資を回収できる」という段階です。
ところが、そのタイミングで広告主から、「今月末をもってアフィリエイトプログラムを終了します」と通知される可能性があります。
広告主からすれば経営判断です。
- 広告費を見直した。
- 他の集客方法へ切り替えた。
- 利益率が下がった。
- 十分な顧客数を獲得できた。
理由はさまざまです。
しかし、アフィリエイターがそれまでに100万円使ったのか、500万円使ったのか、1年間かけたのかは、広告主の判断とは基本的に関係ありません。
これが両者の決定的な違いです。
売れるようになってから条件を変えられることもある
さらに厳しいのが、成果条件の変更です。
例えば、1件2万円という案件を前提にサイトを作ったとします。毎月50件成約すれば100万円です。
ところが途中から条件が変わることがあります。
成果報酬の変化(月50件成約の場合)
- 当初の単価 2万円 100万円
- 単価変更 1万5,000円 75万円
- 単価変更 1万円 50万円
同じアクセス。同じ記事。同じ作業量。同じ50件を送客しているのに、収益は半分になります。
それでもアフィリエイター側から、「当初2万円だったのだから戻してください」と言ったところで、必ず元に戻るわけではありません。広告主の提示条件を受け入れるか、別案件へ変更するしかありません。
この瞬間、誰が条件を決める側なのかがはっきりします。
広告主はアフィリエイターを「代替可能」と考えやすい
さらに重要なのが、代替可能性です。
ある広告案件を紹介しているのが自分一人なら、広告主にとって非常に重要な存在になるでしょう。しかし多くの場合、
- 100サイト、
- 500サイト、
- 1,000サイト
という単位で広告が掲載されています。広告主からすると、一人のアフィリエイターが離脱しても、ほかのアフィリエイターが販売してくれる可能性があります。
一方でアフィリエイター側が、その広告主から売上の80%を得ていたらどうでしょう。広告主側にとっては売上の数%。アフィリエイター側にとっては売上の80%。
この時点で交渉力には大きな差があります。
「パートナー」と呼ばれていても、依存関係が大きく偏っていれば、実際の力関係は対等ではありません。
ASP担当者と仲良くなっても経営判断には勝てない
アフィリエイトで成果を出すようになると、ASP担当者が付くことがあります。
- 情報をもらえる。
- 新案件を紹介してもらえる。
- 単価交渉をしてもらえる。
非常にありがたい存在です。しかし、ここでも勘違いしてはいけません。
ASP担当者が、「〇〇さんには長く掲載してもらいたいです」と言ってくれたとしても、広告主自身が案件終了を決定すれば基本的には終わります。
担当者との関係は重要です。しかし、
人間関係と事業リスクは別です。
「担当者と仲がいいから大丈夫」「広告主から高く評価されているから大丈夫」ではありません。アフィリエイトを事業として行うのであれば、常に最悪のケースを想定しておく必要があります。
特別単価をもらった瞬間に依存が始まることもある
通常単価1万円。特別単価2万円。
この条件を提示されたら、ほとんどのアフィリエイターはその広告を積極的に掲載するでしょう。当然です。同じ1件なら報酬が倍になるからです。すると、
- ランキング1位へ掲載する。
- 記事を増やす。
- 比較ページから優先的に送客する。
- 広告主専用の記事を作る。
結果として、その広告主からの報酬比率がどんどん増えていきます。
一社の売上比率が高まっていく例
- 月商 100万円
- 月商 200万円
- 月商 300万円
- 月商 500万円(うち450万円が一社)
非常に成功しているように見えます。しかし売上500万円のうち450万円が一社から発生しているのであれば、そのサイトは非常に大きなリスクを抱えています。その広告主がいなくなれば、翌月から50万円になる可能性があるからです。
高単価は利益を増やしてくれます。同時に、
一社への依存度も高める可能性があります。
稼いでいるアフィリエイターほど広告主を信用しすぎない
ここでいう「信用しない」は、
- 広告主は悪人だ。
- 騙される。
- 約束を破られる。
という意味ではありません。もっとビジネス的な意味です。
「広告主は広告主の利益を優先する」という当たり前の前提を理解しているということです。
- 広告主の経営が悪化すれば広告費を削ります。
- アフィリエイトよりGoogle広告の方が効率的ならGoogle広告へ予算を移します。
- 自社ブランドが十分育てばアフィリエイトを縮小することもあります。
- 利益率が下がれば報酬単価を下げることもあります。
すべて普通の経営判断です。だからアフィリエイターも、
広告主に守ってもらおうとするのではなく、自分の事業は自分で守る必要があります。
この考え方については、「本当に稼いでいるアフィリエイターほど広告主やASPを信用していない」でも詳しく解説しています。
本当に強いアフィリエイターは「広告主を選ぶ側」に回る
アフィリエイトを始めたばかりの頃は、「広告主に提携してもらえるか」を気にします。しかし、本当に強いWEBメディアになると立場が逆転します。
広告主から、「掲載してください」「ランキングに入れてください」「特集記事を作ってください」と依頼されるようになります。
なぜでしょうか。ユーザーを持っているからです。
- 毎月何十万人というアクセスがある。
- 検索上位を持っている。
- 指名検索される。
- SNSのフォロワーがいる。
- メール会員を持っている。
つまり、広告主ではなく「ユーザー」を持っている。これがアフィリエイター最大の交渉力になります。
広告主から見下されるかどうかを気にするより、広告主が無視できないWEBメディアを作った方が早い。これがこのビジネスの一つの答えだと思います。
広告主のためにサイトを作らない
これからアフィリエイトを始める人にも、この点は非常に重要です。
A社という広告案件を見つけた。報酬が高い。だから、「A社を売るためのサイトを作ろう」と考える。これは短期的には合理的に見えます。しかしA社がいなくなれば、サイトそのものが成立しなくなる可能性があります。
そうではなく、
メディアファーストの考え方
- 市場を取るためのWEBメディアを作る
- ○○について調べる人を集める
- 複数の商品を比較する
- 複数の広告主を紹介する
- 現在最もユーザーに合うA社を紹介する
A社の条件が悪くなればB社。B社が終了したらC社。この形なら広告主が変わってもWEBメディアは残ります。
広告主の商品を売るためにメディアを持つのではありません。メディアを持っているから、広告主の商品を選んで売れる。この順番に変える必要があります。
広告主だけではない。Googleからも見下されないサイトを作る
さらに言えば、依存先は広告主だけではありません。
Google検索だけからアクセスを集めていれば、Googleのアルゴリズム変更によってアクセスが急落する可能性があります。SNSだけならアカウント停止のリスクがあります。ASPだけに依存していれば取扱案件の変更があります。
結局、アフィリエイトという仕事では、自分ではコントロールできない会社やプラットフォームを利用しながら収益を上げています。だからこそ必要なのは、
- 一社の広告主に依存しない。
- 一社のASPに依存しない。
- 一つの検索キーワードに依存しない。
- Googleだけに依存しない。
そして、
自分自身のWEBメディアの価値を高めること。これに尽きます。
「アフィリエイターは広告主から見下されている」と感じたときに考えること
広告主にもっと大切に扱ってほしい。ASPからもっと高い単価を提示してほしい。条件変更をやめてほしい。
もちろん、アフィリエイター側からすればそう思うこともあります。しかし、そこに不満を持ち続けてもビジネスは変わりません。
それよりも、
「この広告主が明日なくなっても、自分は稼げるか?」
を考えた方がいい。YESなら問題ありません。NOなら、依存しすぎています。
アフィリエイトで本当に重要なのは、広告主と仲良くすることでも、広告主を全面的に信用することでもありません。
広告主がいなくなっても生き残れるWEBメディアを作ることです。
広告主に選ばれるアフィリエイターから、広告主を選べるアフィリエイターへ。その立場を作るものは、特別単価でもASP担当者との人間関係でもありません。
- アクセス。
- ユーザー。
- 専門性。
- 独自情報。
- ブランド。
そして、
広告主が変わってもユーザーが訪れ続けるWEBメディアそのものです。
「アフィリエイターは広告主から見下されている。」そう感じるのであれば、広告主に対する不満を増やすより、自分自身の立場を変える。
最終的に目指すべきなのは、「この広告を掲載させてください」と広告主からお願いされるメディアになること。
アフィリエイトを長期的な事業として考えるのであれば、それこそが最も強いポジションです。