一人で運営していると、自分が急に対応できなくなったとき、誰もサイトの状態を把握できません。緊急連絡メモに書くのは、契約がどこにあるか、誰に連絡すればよいか、サイトを止める方法、復旧に必要な情報がどこにあるかの四つです。運営を引き継いでもらうための詳しい手順書ではなく、不在時にサイトを止めたり守ったりするための最小限の記録です。
この記事では、不在時の停止と保全に絞った緊急連絡メモを扱います。複数人で運営するための手順書や、事業としての引き継ぎの設計とは分けて考えます。パスワードそのものをメモに書く方法は扱いません。
1.なぜ緊急連絡メモが必要か
病気や事故、急な事情で、しばらく作業ができなくなることは誰にでも起こりえます。
その間も、サイトは公開され続け、契約の更新日は来て、問い合わせは届きます。誰も状況を知らなければ、契約が切れてサイトが消える、問い合わせに誰も答えない、といった事態になります。
緊急連絡メモがあれば、家族や信頼できる人が、最低限の対応をとれます。
2.メモに書く四つの項目
| 項目 | 書くこと | 書かないこと |
|---|---|---|
| 契約の所在 | どの会社と契約しているか、更新日 | パスワード |
| 連絡先 | 契約先の問い合わせ窓口、取引のある相手 | 相手の個人的な情報以上のもの |
| 停止方法 | サイトを一時的に止める方法、広告を外す方法 | 細かい設定の手順すべて |
| 復旧手段の所在 | ログイン情報を保管している場所 | ログイン情報そのもの |
四つ目が重要です。パスワードをメモに直接書くと、メモ自体が危険なものになります。書くのは保管場所だけです。
3.契約の所在
- ドメインの契約先と更新日。
- サーバーの契約先と更新日。
- 支払いに使っているカードや口座の種類(番号は書かない)。
- 利用しているASPの名称。
- 有料の道具やサービスの名称と更新日。
更新日が分かれば、引き継いだ人が、急いで対応が必要な契約から確認できます。
4.連絡先
契約先の問い合わせ窓口は、名称と、問い合わせのページの場所を書いておきます。
取引のある相手や、制作を依頼している相手がいる場合は、その連絡先も書きます。相手に事情を伝える必要が生じるためです。
5.停止方法
引き継いだ人がサイトの運営を続けられない場合に備えて、サイトを一時的に止める方法を書きます。
停止方法は、専門知識がなくても行える範囲で書きます。「サーバーの管理画面から公開を停止する」「問い合わせフォームに休止の案内を出す」といった形です。
停止しない選択もあります。記事がそのまま読めても問題がない場合は、「停止は不要。契約の更新だけ続ける」と書いておく方法もあります。
6.復旧手段の所在
ログイン情報をどこに保管しているかを書きます。パスワード管理の道具を使っているなら、その道具の名称と、開くための手順が保管されている場所を書きます。
紙に書いて保管しているなら、その紙がある場所を書きます。
アカウントの管理の仕方は、ブログとASPのパスワードをどう管理する?初心者のアカウント整理で詳しく解説しています。
7.緊急連絡メモの様式
緊急連絡メモの記入例(架空)
- サイト名とURL:〇〇ブログ(URL)
- 契約:ドメインは〇〇社、更新日〇月。サーバーは〇〇社、更新日〇月。
- ASP:〇〇、〇〇。
- 連絡先:制作を相談している〇〇さん(連絡手段)。
- 停止方法:問い合わせページに休止の一文を入れる。サイトの公開は止めなくてよい。
- ログイン情報の保管場所:自宅の書類棚の〇〇のファイル。
- 最初にやってほしいこと:更新日が近い契約の確認。
最後の「最初にやってほしいこと」を書いておくと、引き継いだ人が迷わずに済みます。
8.誰に渡すか
メモを渡す相手は、家族や信頼できる人です。渡す相手には、メモの存在と保管場所だけを伝えておき、中身は必要になったときに見てもらう形でも構いません。
渡す相手が、サイトの運営に詳しくない場合は、専門用語を避けて書きます。
9.メモの保管場所
メモは、ログイン情報を保管している場所とは分けて保管します。一か所にまとめると、その場所の情報が漏れたときの影響が大きくなります。
メモとログイン情報の両方がそろわないと、サイトを操作できない形にしておくと安全です。
10.更新のタイミング
契約先を変えた、新しいサービスを使い始めた、ASPを追加した、といった変更があったら、メモを更新します。
変更がなくても、年に一度はメモを見直し、書かれている内容が今も正しいかを確認します。
11.休止の準備との違い
自分で計画して休む場合は、休む前に準備ができます。緊急連絡メモは、準備ができないまま不在になった場合に備えるものです。
計画して休む場合の準備は、ブログをしばらく休むときに確認したい契約と公開情報で詳しく解説しています。
12.制作を依頼している場合
制作や運用を依頼している場合は、依頼先の連絡先と、契約の範囲を書いておきます。依頼先が対応できる範囲と、依頼者でないと決められない範囲を分けて書くと、引き継いだ人が判断しやすくなります。
依頼先から受け取っておくべきものは、ブログを納品されたら何を受け取る?契約情報・操作資料・素材の確認表で詳しく解説しています。
13.確認すること
- 契約の所在と更新日を書いた。
- 契約先と取引相手の連絡先を書いた。
- サイトを止める方法、または止めなくてよいことを書いた。
- ログイン情報の保管場所を書き、パスワードそのものは書いていない。
- 最初にやってほしいことを書いた。
- メモの存在を、信頼できる人に伝えた。
14.よくある質問
-
家族がサイトの運営にまったく詳しくありません。それでも役に立ちますか。
役に立ちます。メモの目的は運営を続けてもらうことではなく、契約を切らさない、必要なら止める、という最小限の対応です。「最初にやってほしいこと」の欄を具体的に書いておけば、詳しくない人でも動けます。
-
パスワードを書かずに、家族は本当にログインできますか。
保管場所が書いてあれば、そこからログイン情報を取り出せます。パスワード管理の道具を使っている場合は、その道具を開くための手順も、保管場所に一緒に置いておきます。
-
メモを誰にも見せずに保管しておいてもよいですか。
存在を誰も知らなければ、必要なときに見つけてもらえません。中身は見せなくても、メモがあることと保管場所だけは、信頼できる人に伝えておきます。
-
制作を依頼している場合、依頼先に連絡してもらえばよいですか。
依頼先の連絡先を書いておけば、状況を伝えてもらえます。ただし、契約の更新や解約の判断は依頼者側でないとできない場合があるため、依頼先に任せられる範囲も書いておきます。
-
サイトの収入があった場合、家族に伝えるべきことはありますか。
未入金の報酬があるかを確認する必要がある、ということだけでも書いておきます。ASPの名称が分かれば、家族が問い合わせる手がかりになります。
メモを書き終えたら、家族に「最初にやってほしいこと」の欄だけを読んでもらい、分からない言葉がないかを確認すると、いざというときに使えるメモになります。
メモを家族に読んでもらうときは、「この欄を見て、明日何をするか言えますか」と聞いてみてください。答えられなければ、書き方が抽象的すぎます。「ドメインの更新日を管理画面で確認する」のように、行動が一つに決まる書き方に直します。
見直しの日には、契約の更新日が過ぎていないか、保管場所が変わっていないか、連絡先が今も有効かの三つを確認します。
三つの確認が終わったら、メモの末尾に見直した日付を書き足します。家族がメモを開いたとき、いつ時点の情報かが分かり、古い情報を前提に動いてしまうことを防げます。
日付が一年以上前のままになっていたら、次の見直しを先延ばしにせず、その場で三つの確認を行ってください。
15.まとめ
一人で運営する人は、不在時に備えて緊急連絡メモを作っておきます。
書くのは、契約の所在、連絡先、停止方法、復旧手段の所在の四つです。
パスワードそのものは書かず、保管場所だけを書きます。
メモは、ログイン情報とは別の場所に保管し、信頼できる人に存在を伝えておきます。
契約やサービスに変更があったら更新し、年に一度は見直します。
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