本業の営業担当へ第二事業の案内も任せる場合、既存の営業目標に仕事を上乗せするだけでは優先順位が定まりません。新事業への紹介を評価しても、本業の顧客に不要な提案を繰り返す仕組みでは関係を損ないます。担当時間、評価、紹介後の責任を合わせて決める方法を、社内営業の仕事に絞って解説します。
営業へ頼むのは、紹介か、販売か、提供までか
第二事業の紹介をする仕事と、用途を確認して契約をまとめる仕事では負担が違います。さらに、販売後の顧客対応まで営業が行うなら、継続の時間も必要です。「取引先に話しておいて」という依頼では、どこまで説明してよいか分かりません。顧客へ伝える内容と、第二事業へ引き継ぐ時点を決めます。
本業の顧客が第二事業に適しているかも確認します。同じ会社でも、使う部署、支払いの担当、予算が違う場合があります。既存の商談で話が出たというだけで、新事業の有料需要を確認できたとは扱いません。本業と同じ顧客を対象にする条件を参考に、会社名だけで対象を決めないようにします。
依頼する仕事には、顧客が断った場合の扱いも含めます。営業担当が紹介数を評価されると、顧客の意思より件数を優先するおそれがあります。案内する用途や対象を絞り、不要な場合には紹介しない判断も認めます。本業の契約や提供を受けるために、新事業の購入が必要であるような説明は避けます。
| 営業へ任せる範囲 | 必要な支援 | 評価に入れる事実 |
|---|---|---|
| 了承を得た紹介 | 対象の用途と引き継ぎ先 | 相手が案内を希望したこと |
| 用途や予算の確認 | 質問項目と対象外の条件 | 顧客の必要性と購入の条件 |
| 提案と契約 | 価格、提供範囲、変更の承認 | 合意した条件と記録 |
| 購入後の対応 | 担当範囲と専門者への相談先 | 約束した提供と適切な引き継ぎ |
この表のすべてを営業へ任せる必要はありません。紹介後は第二事業の担当が対応する仕組みなら、本業営業の仕事を短く区切れます。反対に、新事業の担当がいないため営業へ戻すなら、販売の件数に応じて対応の時間が増えます。担当範囲を決めずに評価だけを追加しないようにしてください。
目標が衝突する場面から、評価を組み直す
本業の売上だけが評価される場合
第二事業へ案内する時間が、本業の商談を減らしているなら、営業担当が協力しにくくなることがあります。新事業の作業を正式な担当枠へ入れ、本業で期待する仕事量も調整します。本人の意識が低いと判断する前に、会社の目標と時間の配分が両立するかを確認してください。
第二事業の紹介件数だけを評価する場合
名刺の共有、承諾前の連絡先登録、用途の合わない案内が増えていないかを見ます。件数が増えても、顧客が話を受けたくないなら事業へつながりません。評価に使う紹介は、了承と用途を確認したものへ限定するなど、質を説明できる条件を置きます。顧客の情報の利用範囲も会社で確認します。
両方の売上を同じ案件へ加える場合
会社内の評価額と実際の売上を分けます。営業部へ貢献の評価を付けても、同じ取引を二回会社の収入へ加算しません。第二事業の売上と社内の貢献配分では、この数字の扱いを整理しています。社内の意欲を促す評価と、会社の事業判断に使う収支の用途をそろえます。
販売後の仕事が評価されない場合
営業が契約を取った後も問い合わせを受け続けるなら、継続の負担を記録します。契約件数だけで担当の容量を測ると、新しい営業を増やした後に対応が破綻する可能性があります。顧客対応を別の窓口へ渡すか、担当に残す時間を明示し、責任の境界を顧客にも分かる形へします。
仮の営業計画で、案内の優先順位を考える
説明用に、本業の設備更新を提案する営業部が、資料提供サービスも案内すると仮定します。設備の商談を進める時間と、新事業の説明時間が重なります。会社が本業の目標を変えずに、新事業の紹介目標も追加した場合、営業は短時間で多くの相手へ案内しようとするかもしれません。
この会社では、顧客が資料を必要としている場面に限定して案内し、了承を得た後に新事業の担当へ渡す仕組みを試します。営業が資料の専門的な質問へ答える必要があるなら、そのための支援も用意します。紹介だけの運用と、営業が販売まで行う運用を同じ仕事量として比較しないようにします。
開始後は、案内の件数だけでなく、相手の用途、引き継ぎ後の状態、本業の商談にかかった時間を見ます。新事業への相談が増えても、本業で必要な顧客対応が遅れるなら、会社全体では改善といえない場合があります。一方、本業の説明と自然につながり、顧客の用事を解決するなら、協力を続ける根拠になります。
評価の変更は、営業の管理者と第二事業の責任者で合意します。異なる部門から別々に指示が出ると、現場はどちらへ報告するか分からなくなります。目標、担当時間、対象顧客、引き継ぎ先、判断を戻す条件を一緒に示します。社内の人事や賃金へ影響する場合は、必要な担当者へ確認してください。
顧客から聞いた要望が、そのまま第二事業の標準条件になるとは限りません。一社の希望に合わせた特別な提供は、通常の価格や担当時間では対応できない場合があります。営業が持ち帰った要望を、対象、追加の仕事、契約の変更へ分けて第二事業の責任者へ渡します。販売の意欲を評価する場合でも、社内が確認していない提供を先に約束する行動は促さないようにします。
営業資料には、話してよい範囲と質問を戻す先を記載します。商品の特徴だけでなく、提供しない用途、価格の確認先、専門的な質問への対応を示すと、担当が無理に答える場面を減らせます。資料の版と適用する日を管理し、古い案内が本業の営業資料へ混ざったままにならないようにします。条件が変わった場合は、第二事業だけで更新を終えず、紹介する営業へ伝えてください。
短い試行で、営業へ残る仕事を測る
最初は対象を限定して運用し、営業が何に時間を使うかを記録します。案内、用途の確認、紹介の了承、情報の整理、後日の問い合わせなどを分けます。連絡先を渡した後に何度も営業へ戻るなら、引き継ぎ資料や第二事業の窓口に不足がある可能性があります。評価を増やすより、仕事の流れを直す方がよい場合があります。
試行を終える時点では、続ける条件も決めます。顧客に役立つ用途が確認できたか、営業が説明できる範囲が明らかか、新事業が引き継いだ案件を処理できるかを見ます。相手が購入しなかった理由は、営業の案内不足だけではありません。商品、価格、予算、購入時期などの条件を分けて記録してください。
既存の取引先から初期の需要を調べる方法は、新規事業の市場選定や事業計画の作成も参考になります。ただし、取引先の好意的な反応と、有料で継続して購入する根拠は違います。営業担当の関係だけで売れた事例を、市場全体の需要と決めつけないようにします。
会社が営業時間から離れた収益源を検討する場合、収益を生むアフィリエイトサイトも一つの選択肢です。他社の商品・サービスを紹介し、成果条件に応じて報酬を受ける方法はアフィリエイトの仕組みで確認できます。サイトにも集客や運営の仕事は必要です。営業が毎日直接販売しないことと、運営の負担がないことは区別して検討します。
その方式へ進む場合は、本業営業の顧客名簿を無理に活用することが目的ではありません。サイトの読者と紹介する商品の用途を調べ、案件や記事、集客、収益の条件を設計します。既存営業へ一律に新しい業務を足すより、会社が持ちたい事業の型から担当と評価を決めることが大切です。