第二事業の原価を外注費やシステム料金だけで計算すると、本業の社員が使った時間が見えず、事業の利益を大きく評価する場合があります。兼務時間は、追加の現金支出と同じではありませんが、会社の資源を使う負担です。経営判断用の費用配分として、作業の記録、時間の評価、事業間の集計をそろえ、本業へ隠れた負担を残さない方法を解説します。

給料が増えないことと、会社の負担がないことを分ける

既存社員が第二事業を担当しても、直ちに給与の支払いが増えるとは限りません。しかし、その時間に本業の仕事を減らしたり、他の担当へ作業を移したりする場合があります。会社がすでに給料を払っているから原価はゼロ、と判断すると、第二事業が使う資源を把握できません。現金の追加支出と、社員の時間の配分を別の情報として扱います。

一方、時間へ評価額を掛けた数字を、会社が新たに払ったお金として資金表へ足すこともしません。給与をすでに会社の支出へ入れているなら、同じ金額を二重に計上する可能性があります。本記事で行うのは経営判断のための事業別の配分です。正式な会計や税務の処理は、自社の条件と担当者へ確認してください。

中小機構のJ-Net21には、間接コストを活動に分けて把握する考え方が紹介されています。第二事業の兼務も、どの仕事へ時間を使ったかを確認する入り口になります。ただし、一つの配分方法がすべての会社に合うとは限りません。記録できる範囲と、経営が何を比較したいかから基準を決めます。

記録は、第二事業の仕事が分かる単位にする

作業の例記録する対象原価に反映する理由
調査・企画候補、用途、資料の確認開始前に会社が使った時間
制作・入稿成果物と処理した工程通常提供に必要な時間
専門の確認原稿や条件、差戻し外注しても残る社内の仕事
顧客対応質問、修正、導入の説明販売後の負担
管理・承認契約、予算、報告の確認会社側の監督の容量

社員へ時間だけを聞くと、何が増えているか分かりません。事業、案件、工程、使った時間、必要なら待ちや差戻しの理由を記録します。細かすぎる記録で作業を止めるのではなく、会社が改善を判断できる粒度を選びます。最初は代表的な期間や試行の仕事を記録し、その結果で通常の提供計画へ必要な項目を見直す方法があります。

本業と第二事業に共通する会議や資料もあります。全時間を片方へ付けるのか、使った用途へ分けるのか、経営用の共通費として別に置くのかを決めます。毎月都合のよい事業へ配分すると、利益の推移が比較できません。基準を記録し、変更した場合は、なぜ変えたかを報告してください。粗い配分でも、一貫した前提がある方が判断しやすくなります。

空き時間を使う計画は余剰時間で運営する場合の確認へ進めます。空いている月に記録した工数でも、通常の月には本業の何を減らして確保するかを考えます。時間の評価を行う目的は社員の速さを順位付けすることではなく、会社が第二事業へ割り当てる仕事量を把握することです。

仮の数字で、外部費用だけの利益を読み直す

説明用に、第二事業の月の売上20万円、外部費用10万円、社員が使った時間20時間と仮定します。実際の給与や費用相場ではありません。会社が経営用の評価単価を一時間3,000円と仮置きするなら、配分する時間の評価は6万円です。外部費用だけを引いた10万円と、時間の評価も含めた4万円は、費用の範囲が異なる数字です。

この6万円を、会社が新たに支払った人件費と呼びません。給与の総額や正式な原価計算と同じとは限らないからです。経営が候補の負担を比較する仮の配分として示します。評価単価の設定、含める費用、対象の時間を会社内でそろえ、個別の給与情報を提案資料へそのまま載せる必要があるかも確認してください。

全社の集計では、社員の費用を本業と第二事業へどう分けたかを照合します。第二事業へ配分した分を、本業にも同じ範囲で残して二重に足さないようにします。会社の総費用は変わらなくても、各事業が使った時間が見えることで、どちらへ資源を追加するかを判断しやすくなります。部門の評価と全社の資金を混ぜないことが重要です。

利益率の比較は利益率の高い新規事業の考え方へつなぎます。高い率に見える候補でも、社員の確認が多いなら、会社の余力を使います。反対に、外注費が大きい案でも、社内の工数を減らせる条件があるなら、同じ範囲で比べる必要があります。外部料金だけで内製と外注を順位付けしません。

時間を配分した後は、増えている工程を見る

初回だけの作業と、毎回の作業

最初の企画や導入に必要だった時間と、顧客ごとに必要な対応を分けます。初回の負担を毎月同じだけ見積もると、通常の原価を大きくする場合があります。逆に、最初だけのつもりだった確認が毎回起きているなら、継続の費用へ移します。会社が何を学習し、何を標準化できたかを記録から見てください。

顧客が増えたとき、同じ時間で提供できる部分と、追加される部分も区別します。共通の資料が使えても、顧客の情報を確認する仕事や質問は残るかもしれません。売上だけを件数倍し、社員の時間を固定したままにしないようにします。試行で得た工数の前提を、追加投資の資料へ渡します。

確認と差戻しが増える作業

外注しているのに社内時間が増えた場合は、資料の不足、検収の基準、担当間の引継ぎを見ます。相手の制作が速くても、会社が毎回詳しく修正するなら、その負担は事業へ入れます。外注費を減らすことが社内の仕事を増やしていないかも確認してください。適切な範囲は任せる工程の決め方で整理できます。

差戻しが必要だった理由を記録すると、依頼資料や承認の順序を変える案が出ます。時間の合計だけでは、担当者を増やすべきか、工程を直すべきかが分かりません。原価を把握したあとに、何を減らし何を残すかを判断します。必要な専門確認を、費用が高いという理由だけで省く計画にはしません。

本業へ移った仕事も、会社全体で確認する

第二事業の担当が本業の作業を減らした場合、その作業を誰が担ったかを見ます。他の社員や外注へ移れば、会社の別の費用が増える可能性があります。担当者一人の時間が足りたことだけで両立できたと報告しません。本業の顧客対応、納品、社内の確認へどんな影響が出たかを、提供部門と一緒に確認してください。

共用する設備やシステムの費用は本業資源の費用配分へ渡します。時間と設備の両方を使う仕事では、費用の対象をそろえる必要があります。会社の月次資料は、配分前の共通費と配分後の各事業を照合できる形にします。評価の基準を変えると数字が変わることも、説明へ含めてください。

候補の事業計画には売上や費用の前提を整理する方法が参考になります。計画の単価と実際の記録が違ったら、原因と変更する条件をまとめます。現実の工数が増えているのに、当初の見積もりを使い続けて利益だけを良く見せないようにします。原価の記録は、会社が計画を修正するために使います。

紹介事業を委託しても、社内の確認は配分する

収益を生むアフィリエイトサイトを外注する場合にも、会社側の事業目的、予算、資料提供、契約、必要な確認は残る場合があります。制作会社の請求だけで利益を計算せず、社内に残る工程を確認します。会社が専任配置を考える段階は専任の社員を置く前の仕事量へ進めます。

経営へ渡す原価資料には、外部支出、社員の時間、使った評価基準、共通費、本業への影響を分けて載せます。現金の追加支出と、会社が配分する資源を混ぜないでください。兼務時間が見えれば、利益の見かけを直すだけでなく、工程を改善するか、提供を絞るか、外注や採用を増やすかを具体的に比較できます。