意見を書くこと自体に問題はありません。問題になるのは、事実と感想と推測が混ざり、読者がどれを根拠に判断してよいか分からなくなることです。三つを分けて書けば、意見も安心して読んでもらえます。
この記事では、三つの区別と、書き分けの方法を扱います。架空の体験を作る話や、レビュー記事の構成全般は別の記事の範囲です。ここでは、文章の中での書き分けだけを扱います。
1.三つの違い
| 種類 | 性質 | 確認できるか | 語尾の例 |
|---|---|---|---|
| 事実 | 実際にそうであること | できる | 〜です、〜と記載されています |
| 感想 | 自分がどう感じたか | 本人にしか分からない | 〜と感じました、〜が扱いやすいと思いました |
| 推測 | 根拠から導いた見込み | 確定していない | 〜と考えられます、〜の可能性があります |
読者が判断に使えるのは、主に事実です。感想と推測は、参考にはなりますが、そのまま根拠にはできません。
2.混ざると何が起きるか
三つが混ざった文章を読むと、どこまでが確認された情報か分かりません。感想を事実として受け取った読者は、期待とずれた結果になります。
また、書いた側も責任の所在が曖昧になります。「そう思った」だけなのに断定した形で書くと、誤った情報を流したことになります。
分けて書けば、読者はそれぞれを適切に扱えます。感想も、感想として示されていれば有用な情報です。
3.書き直しの例
元:「このサービスは月額が安く、機能も充実していて、初心者には最適です。今後さらに利用者が増えるでしょう。」
分解すると、「月額が安い」は比較の対象がないと事実にならず、「機能が充実」は感想、「初心者に最適」は評価、「利用者が増える」は推測です。確認された事実がほとんどありません。
直した例:「月額は公式ページで確認した時点で◯◯円でした(確認日を記載)。同種の三つと比べると下から二番目です。設定画面の項目が少なく、自分は迷わず操作できました。ただし、細かい調整を求める場合は物足りないと感じる可能性があります。利用者数の推移は公表されていないため、今後については分かりません。」
長くなりましたが、どこが事実でどこが感想かが分かります。読者は自分の条件に当てはめて判断できます。
4.事実の書き方
事実として書くなら、確認した情報源を示します。公式ページの記載、自分が実際に測った結果、といった根拠です。
また、いつ時点の情報かも書きます。料金や条件は変わるため、確認日がないと事実としての価値が下がります。
確認できていないことを事実の形で書かないでください。「〜です」と書くには、根拠が必要です。
資料の集め方と記録の残し方は、ブログ記事を書く前に資料を集めるには?公式情報の探し方とメモの残し方で詳しく解説しています。
5.感想の書き方
感想は、主語を自分にします。「使いやすい」ではなく「自分は使いやすいと感じた」と書きます。
あわせて、どういう条件でそう感じたかを書きます。使った期間、目的、比較した対象などです。条件が分かれば、読者は自分に当てはまるかを判断できます。
感想を一般化しないでください。「誰にとっても使いやすい」とは書けません。自分の条件で感じたことにとどめます。
6.推測の書き方
推測は、根拠と一緒に書きます。何から、どう考えてその見込みに至ったかを示します。
根拠のない推測は書かないほうが無難です。特に、将来の予測や、他人の意図についての推測は、外れたときに責任が残ります。
語尾は、断定を避けます。「〜と考えられます」「〜の可能性があります」といった形にします。ただし、語尾を弱めるだけで根拠がないなら、書かないほうが安全です。
7.評価をどう扱うか
「良い」「おすすめ」といった評価は、感想と推測の中間にあります。何を基準に評価したかを書けば、読者も判断できます。
基準としては、対象読者、用途、比べた相手の三つです。「一人で使う場合、同価格帯の三つの中では、設定の手間が少ない」といった形になります。
基準を書かない評価は、根拠のない推奨になります。読者は、その評価を信じてよいか判断できません。
8.書き分けの練習
一つの段落を分解する手順
- 書いた段落を読み、一文ずつに分ける。
- 各文が、事実・感想・推測のどれかを判定する。
- 事実の文について、根拠を示せるか確認する。示せないなら、感想か推測に直す。
- 感想の文について、主語が自分になっているか確認する。
- 推測の文について、根拠を書き添える。書けないなら削る。
- 直した文を並べ直し、流れを整える。
慣れるまでは、この作業を意識的に行います。数本書けば、書きながら区別できるようになります。
9.語尾だけを変えない
「〜です」を「〜と思います」に変えるだけでは、書き分けになりません。根拠の有無が変わらないためです。
語尾を弱めた推測は、責任を回避しているだけに見えることもあります。根拠を示すか、書かないかのどちらかです。
逆に、根拠がある推測なら、語尾を弱めても価値があります。根拠が示されていれば、読者も同じ推論をたどれます。
10.使っていない商品について
使ったことがない商品について、使ったかのように書くのは避けます。感想を書けるのは、実際に使った場合だけです。
使っていない場合、公開情報の整理として書きます。「公式の説明によると」という形で、情報の出どころを示します。
この場合でも、記事の価値はあります。条件を整理して比べられる形にすることは、使っていなくてもできます。
向かない条件をどう書くかについては、紹介する商品のデメリットはどう書く?向かない条件を具体的に伝えるで詳しく解説しています。
11.他人の情報を扱う場合
他の人の感想や評価を紹介する場合、それが誰の感想かを示します。自分の感想と混ぜないでください。
また、他人の感想を事実として扱わないようにします。「利用者からは使いやすいと評価されています」と書くには、その根拠が必要です。
数値を伴う情報を紹介する場合、出どころと調査の条件を確認します。条件が分からない数値は、判断に使えません。
成功談の数字を読むときの観点は、アフィリエイトの成功談を見るときに確認したい数字と条件で詳しく解説しています。
12.分けることで書きやすくなる
三つを分けると、書く内容が明確になります。事実は調べる、感想は自分の経験から書く、推測は根拠を示す。それぞれの作業が違います。
混ざったまま書こうとすると、どこまで書いてよいか判断できず、手が止まります。分けておけば、迷いが減ります。
13.読者が求めているもの
読者が最も求めるのは、確認された事実です。次に、条件付きの感想。推測は、参考程度です。
したがって、事実の割合が多い記事のほうが、判断の役に立ちます。感想だけの記事は、読み物としては成立しても、判断には使えません。
ただし、感想がまったくないと、実際の使い勝手が分かりません。事実を土台に、条件付きの感想を添える形が扱いやすくなります。
14.公開前の確認
- 事実として書いた部分に、根拠と確認日がある。
- 感想の部分は、主語が自分になっている。
- 感想に、条件が添えられている。
- 推測の部分に、根拠が書かれている。
- 評価の部分に、基準が示されている。
- 使っていないものを、使ったように書いていない。
六つを確認すれば、読者が判断に使える記事になります。
15.断定できない場合
調べても分からないことがあります。その場合、「確認できませんでした」と書きます。
これは弱さではありません。分からないことを分からないと書くほうが、根拠のない断定より価値があります。
読者も、その項目については別途確認が必要だと分かります。判断の材料としては十分です。
16.意見を書く価値
事実だけを並べた記事は、正確ですが、読者の判断を助けきれないことがあります。どう考えればよいかが示されていないためです。
条件付きの意見があると、読者は自分の状況と照らし合わせられます。「この条件なら向く」という形の意見は、判断に直接使えます。
したがって、意見は書くべきです。ただし、事実と区別できる形で書きます。
区別の方法は、これまで挙げた三つの書き分けです。難しい技術は要りません。主語と語尾と根拠を意識するだけです。
17.慣れるまでの目安
最初の数本は、書いた後に分解する作業を入れてください。時間はかかりますが、自分の癖が分かります。
よくある癖は、感想を事実の語尾で書くことです。これに気づくだけで、記事の正確さが上がります。
10本ほど書くと、書きながら区別できるようになります。そこから先は、確認の作業も短時間で済みます。
慣れても、公開前の確認は続けてください。急いで書いた記事ほど、混ざりやすくなります。
18.まとめ
分けるのは、事実、感想、推測の三つです。それぞれ、根拠の示し方と語尾が変わります。
事実には根拠と確認日を、感想には主語と条件を、推測には根拠を添えます。この三つを守れば、意見を書いても読者を誤らせません。
語尾を弱めるだけでは書き分けになりません。根拠の有無が本質です。
確認できないことは、確認できないと書いてください。読者にとっては、それも有用な情報です。
意見を書くことを恐れる必要はありません。区別して書けば、意見こそが読者の判断を助けます。
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