作業を任せても、決める仕事は残ります。依頼者が担うのは、何のために作るか、いくらまで使うか、どの段階で何を承認するか、どんな資料を渡すかの四つです。この四つを決めないまま依頼すると、作業は進んでも、依頼者が望む形にはなりにくくなります。
この記事では、依頼者に残る役割を整理します。一人で全部をこなす経営論や、特定のサービスの範囲を説明するものではありません。どこへ依頼する場合にも共通する分担を扱います。
1.任せられることと、任せられないこと
記事の作成、サイトの構築、設定作業といった手を動かす仕事は、人に任せられます。専門の知識や経験がある人に頼めば、自分でやるより早く、確実に進むこともあります。
一方で、なぜそのサイトを作るのか、どこまで費用をかけるのかといった判断は、依頼者にしかできません。依頼先が代わりに決めると、依頼者の事情と合わない結果になることがあります。
任せるとは、判断を手放すことではありません。判断を先に済ませ、実行を任せることです。
2.依頼者に残る四つの役割
| 役割 | 決めること | 決めないと起きること |
|---|---|---|
| 目的 | 何のために作るか、何をもって進んだと見るか | 提案が比較できず、方向が定まらない |
| 資金 | 初期と継続の上限、支払の時期 | 途中で予算が足りなくなる |
| 承認 | どの段階で何を確認するか | 後から大きな修正が発生する |
| 資料提供 | 自分しか持っていない情報を渡す | 一般的な内容しか作れない |
四つとも、依頼先に聞かれてから考えるより、相談の前に一度書き出しておくほうが話が早く進みます。
相談の前に書き出す項目は、アフィリエイトの相談をする前に何を整理する?初心者向け相談メモで詳しく解説しています。
3.目的を決める
目的は、「収益を上げたい」だけでは足りません。何の収益か、どのくらいの期間で何を見て判断するかまで書きます。
例えば、「自分の事業に関係する分野で、読者が比較検討する段階の記事を揃えたい」と書けば、依頼先は扱う記事の種類を提案できます。
目的が曖昧なまま依頼すると、依頼先は一般的な形で作ります。それが悪いわけではありませんが、依頼者の事情を反映したものにはなりません。
4.資金を決める
資金は、初期に払える額と、毎月払える額を分けて決めます。成果が出るまで時間がかかる前提で、継続して払える期間も考えます。
上限を依頼先に伝えることをためらう必要はありません。上限が分かれば、その範囲で実現できる形を提案してもらえます。
また、追加費用が発生する条件も確認しておきます。途中で範囲を広げたくなったとき、いくらかかるのかが分かっていれば判断できます。
5.承認の段階を決める
作業のどの段階で依頼者が確認するかを、最初に取り決めます。すべてを完成してから見ると、方向が違っていた場合の修正が大きくなります。
承認を入れる段階の例
- 企画の段階:扱う分野、対象読者、記事の方向性を確認する。
- 構成の段階:サイトの構成や記事の一覧を確認する。
- 初回の制作物:最初の数本を確認し、方向が合っているかを見る。
- 公開前:表示や内容に問題がないかを確認する。
- 運用開始後:定期の報告を受け、次の判断をする。
三つ目が特に重要です。最初の数本で方向を確認しておけば、残りの制作が同じ方向で進みます。
6.承認にかかる時間を確保する
承認の段階を決めても、依頼者が確認に時間を取れなければ、作業が止まります。確認の返信が遅れるほど、全体の日程が延びます。
自分が確認に使える時間を、依頼先に伝えておきます。「平日は夜のみ、返信は二日以内」といった形です。
確認の時間が取れない時期が分かっているなら、先に伝えておくと、日程を組み直してもらえます。
7.資料を渡す
依頼者しか持っていない情報があります。自分の事業の内容、顧客からよく受ける質問、実際に使った商品の記録などです。
これらを渡すと、他のサイトにはない内容を作る材料になります。渡さなければ、依頼先は公開情報だけで作ることになります。
渡す資料には、公開してよい範囲を添えます。社内の情報や個人情報が含まれる場合、どこまで使ってよいかを明示しておきます。
8.決めずに進めた場合の後戻り(架空の例)
以下は、役割を決めずに依頼した場合に起きうる流れを示した架空の例です。実在の事例ではありません。
目的を決めずに依頼した場合の仮の経過
- 依頼者は「アフィリエイトサイトを作りたい」とだけ伝えた。
- 依頼先は、一般的に扱われやすい分野で構成を提案した。
- 依頼者は確認の時間が取れず、構成をそのまま進めてもらった。
- 記事が揃ってから、依頼者は自分の事業と関係のない分野だと気づいた。
- 分野を変えるため、構成から作り直すことになり、費用と期間が追加で発生した。
この例で起きた後戻りは、目的と承認の二つを最初に決めていれば避けられた可能性があります。
9.依頼先に任せてよい判断
すべてを依頼者が決める必要はありません。専門的な判断は、依頼先に任せたほうが良い結果になることがあります。
例えば、記事の見出しの付け方、表示の細かい調整、技術的な設定の方法などです。依頼者が細部まで指示すると、かえって作業が遅くなります。
任せる判断と、自分が決める判断の境目を、最初の打ち合わせで話しておくと、後から揉めにくくなります。
10.意思決定表を作る
誰が何を決めるかを、一枚の表にしておきます。依頼先と共有すると、確認の漏れが減ります。
| 項目 | 決める人 | 確認する人 |
|---|---|---|
| 扱う分野と対象読者 | 依頼者 | 依頼先が提案 |
| 予算の上限 | 依頼者 | — |
| 記事の一覧 | 依頼先が提案 | 依頼者が承認 |
| 記事の本文 | 依頼先 | 依頼者が初回を確認 |
| 技術的な設定 | 依頼先 | — |
| 公開の判断 | 依頼者 | 依頼先が準備 |
この表は例です。依頼の範囲によって変わるため、自分の依頼に合わせて作り直してください。
11.報告を受け取る
運用を任せている場合、定期的に報告を受け取ります。報告は、依頼者が次の判断をするための材料です。
報告を受け取っても読まなければ、判断の機会を逃します。報告を読む時間も、依頼者の役割に含まれます。
報告書で確認する項目は、アフィリエイトの運営報告は何を受け取る?初めて依頼する人の確認項目で詳しく解説しています。
12.範囲の決め方との関係
何を任せるかという範囲の話と、何を決めるかという役割の話は、分けて考えます。範囲が狭くても広くても、依頼者の四つの役割は残ります。
外注する範囲の整理の仕方は、記事だけ頼む?サイトごと頼む?初心者が外注範囲を整理する方法で詳しく解説しています。
13.依頼者が負担を感じたら
四つの役割を果たすには、ある程度の時間が必要です。その時間も取れない場合、依頼の時期を見直すという選択もあります。
判断を先送りしたまま依頼すると、結局は後から判断を求められます。先に時間を取るほうが、全体としては負担が小さくなります。
14.確認すること
- 目的を、依頼先が提案を作れる程度に具体的に書いた。
- 初期と継続の予算の上限を決めた。
- 承認を入れる段階を決めた。
- 確認に使える時間を依頼先に伝えた。
- 自分しか持っていない資料を洗い出した。
- 依頼先に任せる判断の範囲を話し合った。
15.よくある質問
-
目的がうまく言葉にできない場合はどうすればよいですか。
「誰に」「何を判断してもらうサイトか」の二つだけを書いてみてください。数字の目標が決まっていなくても、この二つがあれば依頼先は構成を提案できます。
-
承認の段階を増やすほど安心ですか。
増やしすぎると、確認待ちで作業が止まります。企画、最初の数本、公開前の三つを基本にし、それ以外は報告で確認する形が、依頼者の時間とのつり合いを取りやすくなります。
-
渡す資料がない場合はどうしますか。
資料がなくても依頼はできます。その場合、記事は公開情報を中心に作ることになる、と双方で理解しておきます。後から資料が用意できれば、その時点で渡します。
16.まとめ
作業を任せても、目的、資金、承認、資料提供の四つは依頼者に残ります。
特に、最初の制作物の段階で方向を確認しておくと、後からの大きな修正を避けやすくなります。
意思決定表は、最初の打ち合わせで依頼先に見せ、担当の分け方に食い違いがないかをその場で確かめてください。
判断を先に済ませ、実行を任せる。この順序が、依頼を無理なく進めるための基本です。
任せる範囲が広いほど、依頼者が決めた内容の影響も大きくなります。範囲を広げる前に、四つの役割を果たせる時間があるかを確認してください。
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