新しいロゴができた日、直人は商品の写真を何度も見直した。小さく印刷された自分のブランド名。これまで仕入れ先の一覧で見ていた物が、急に「うちの商品」に見えてきた。名前を付けると、愛着も販売価格の希望も少し上がるらしい。
外箱の色、文字の位置、店の紹介文。決めたいことは多かった。ところが共同で仕事をする友人から、別の質問が来た。「不具合が出たら、誰がどこまで対応するの?」。直人は、ロゴの色見本より長い沈黙を返した。
ここからの会議や製品は架空です。製造を外部へ頼むことと、自社ブランドとして販売する側の確認が不要になることは違うという話です。表示をした者の法的な立場は、具体的な表示や取引の実態などで変わります。
第一回ブランド会議。決まったのは色だけだった
直人が考えていたのは、既存の商品へ自社名を付ける小さな企画だ。工場が商品を作り、こちらは企画と販売を担当する。自分の工場や特別な設備がなくても、ブランドを始められる。その入りやすさに魅力を感じていた。
ただ、工場の通常商品をそのまま買う場合と、指定した仕様で作ってもらう場合とでは、確認する内容が違う。何を注文し、何を変更し、完成品を何と比べて判断するのかを決めないと、届いた物が約束どおりなのかも曖昧になる。
直人の注文メールには、「高品質でお願いします」とあった。気持ちは伝わるが、材質や寸法、耐久性などの条件を一つも指定していない。工場と直人が、それぞれ別の高品質を想像したまま、生産だけが進む可能性があった。
ロゴの位置は一ミリ単位で気にしたのに、使う人に関わる仕様は形容詞だけだった。ブランド会議は、見える部分から進めやすい。でも、買った人が困るのは、会議で盛り上がらなかった部分かもしれない。
自社名は、商品の出どころを説明する表示にもなる
製造物責任法では、実際に製造や加工、輸入をした者以外にも、一定の表示をした者が対象になる。自分が製造業者であると示したり、そう受け取られる表示をしたりする場合など、法律に定められた条件がある。
そのため「工場が別会社だから、ブランド名を付けた自分には関係ない」とは言い切れない。一方で、あらゆるロゴの表示が一律に同じ責任を生むと断定するのも正確ではない。商品の表示、製造への関与、取引の形などを具体的に見る必要がある。
直人が知りたかったのは、責任を逃れられる文字の配置ではなかった。自分がどんな商品として売り、購入者へ誰の商品だと説明しているかを確認する必要があったのだ。
海外から自ら輸入して販売するなら、表示の問題とは別に、輸入者としての立場も関わる。自社ブランドかどうかだけで整理を終えず、輸入して売る人の製造物責任も併せて確認したい。
サンプルがよかったので、千個も同じだと思った
最初のサンプルは、直人の気に入る出来だった。写真を撮り、紹介文を書き、予約を始める準備もした。ところが量産品が届くと、手触りや細部に違いがあるように見えた。
サンプルは何を確認するための物だったのか。量産品で同じにすべき仕様は何か。許容する差はどの範囲か。変更が必要になった場合、誰が承認するのか。こうした条件を残していなければ、「少し違う」「同じです」のやり取りが長くなる。
全部を自分で試験できるわけではないからこそ、必要な検査や試験について誰が何をするのかを決めたい。資料がある場合も、対象の商品や仕様、実施条件が自分の注文と合っているかを見る必要がある。別の型の証明書を受け取って、名前だけで安心しないほうがよい。
検査に費用をかけると利益が減る、と直人は考えていた。しかし、何を売っているか確認できないまま利益を計算しても、土台が定まらない。品質確認は、うまくいった商売へ後から付ける飾りではなかった。
説明書まで、工場の仕事に含まれていますか
直人は、工場の説明書をそのまま使う予定だった。文字を訳せば十分だと思ったが、読んでみると商品の一部の操作が違う。別の型と共通の説明になっていた。
どんな場面で使え、何に注意し、どの使い方を避けるか。購入者が必要な情報を理解できるか確認したい。製品によって求められる表示や規制も違うため、海外で付いていた紙を入れれば、国内販売の確認が全部済むというものではない。
また、宣伝文と注意書きが矛盾していないかも大切だ。販売ページで「どこでも使える」と勧めた後、説明書の片隅に使えない場所が並んでいたら、購入前に必要な情報が届いていない可能性がある。
直人は、使い方を紹介する動画と説明書を並べて確認した。動画では簡単に見せるため省いた手順が、実は使用上大切だった。魅力を伝える編集が、必要な説明まで切り落としていないか。ブランドを付けると、その確認も自分の店の仕事になる。
工場と決める費用の負担は、事故後に初めて話さない
不良があった場合の交換、検査や回収の協力、資料の提供、連絡窓口。普段は出番がない条件ほど、取引を始める前に話しておきたい。事故が起きてから、お互いに期待していた役割が違うと分かれば、対応が遅れることもある。
ただし、工場との契約で費用負担を決めることと、購入者に対して誰が責任を負うかは別の問題だ。内部で「工場が負担する」と約束したから、こちらが購入者へ何も案内しなくてよい、という結論にはならない。
自社名で売るなら、誰がどの商品を買ったか、どの時期の納品かを追える記録も重要になる。販売画面の合計数だけ分かっても、問題のある範囲を特定できない場合がある。記録の整理は、注文が増えてから考えると追いつかなくなりやすい。
ブランド名が付いた箱は、よく売れたときにはうれしい。問題が起きたときにも、その名前が連絡の入口になる。自分の名前を覚えてもらうことのよい面だけを、計画へ入れないほうがよい。
販売を続ける間に仕様を変えるなら、以前の物との区別も残したい。外箱の名前が同じでも、中の部品が違えば調べる対象は変わる。いつから何を変更したのかを工場と共有し、自分の販売記録にも対応させる。ロゴが一つであることと、すべての商品の履歴が一つでよいことは別だ。
第二回ブランド会議で、初めて商品が議題になった
直人たちは、ロゴの相談をいったん止めた。想定する購入者、用途、仕様、確認する資料、問い合わせが来た場合の流れを順に書き出した。会議は地味になったが、何を売るのかは前よりはっきりした。
一度で全部を完璧に決めるのは難しい。分からない規制や契約の問題があれば、適切な専門家や機関に相談する。理解していない商品を、立派なパッケージだけで売り出さないことが大切だ。
販売後の損害と商品代の違いは利益五百円の商品事故は返金で終わる?で、回収や連絡の問題は完売した商品が回収対象になったらで扱っている。ブランドの企画は、発売日までの仕事だけで終わらない。
自分の製品を持たずに紹介する選択肢は、自分の商品を持たない副業でも比較できる。そちらも、広告の表示や記事の正確さなど、役割に応じた確認がある。どちらが無条件に楽かではなく、自分が引き受ける仕事を理解して選びたい。
会議の最後に、直人はロゴの色をもう一度見た。前より重く見えたが、嫌にはならなかった。「自分のブランド」と呼ぶなら、見た目だけでなく、どういう商品をどう届けるかまで説明したい。箱に名前を入れる五秒の前に、決めておくことは意外と多かったのである。
確認資料:製造物責任法・第二条など、消費者庁・製造物責任法Q&A、経済産業省・リコールハンドブック。個別の表示についての法的判断を示す記事ではありません。
当社独自の累計収益保証付き!
丸投げで収益を狙う
アフィリエイトサイトを
手に入れませんか?
アフィリエイト専門のプロが、
企画からサイト構築・記事制作・収益設計まで一括対応。
