記事の題材は、思いついた瞬間に記録しないと消えます。残すのは、疑問が生まれた場面、そのとき調べたこと、そして解決しなかった点の三つです。疑問だけを一行書いても、後から見返したときに何が知りたかったのか分かりません。
この記事では、メモの様式と、続けるための工夫を扱います。分野をどう選ぶか、公開の予定をどう管理するかは別の記事の範囲です。ここでは、記録する作業だけを扱います。
1.なぜ忘れるのか
疑問が生まれるのは、何かをしている最中です。作業中、買い物中、手続き中。そのとき記録しないと、作業が終わった時点で忘れます。
「後で書こう」と思った内容は、たいてい思い出せません。思い出せても、なぜそれが疑問だったのかが抜けています。
したがって、その場で記録する仕組みが必要です。後からまとめて思い出す方法は機能しません。
2.記録する三つの項目
| 項目 | 書くこと | なぜ必要か |
|---|---|---|
| 場面 | いつ、何をしていたときの疑問か | 読者の状況を想像できる |
| 調べたこと | その場で何を調べたか。結果は | 既に分かっている部分が明確になる |
| 未解決点 | 分からなかったこと | 記事で答えるべき内容になる |
三つ目が記事の核になります。自分が調べても分からなかったことは、他の人も分からない可能性が高い部分です。
3.場面を残す理由
疑問だけを書いても、後から読むと抽象的です。「ドメインの更新について」とだけ書いても、何が気になったのか分かりません。
場面を書くと、具体性が戻ります。「更新の案内が届いたが、金額が最初と違っていて確認に手間取った」と書けば、記事の内容が見えます。
また、場面は読者の状況とも重なります。同じ場面に遭遇する人が、同じ疑問を持ちます。
4.調べたことを残す理由
その場で調べた内容を記録しておくと、記事を書くときに調査をやり直さずに済みます。
また、どこを見たかを残しておけば、公式の情報にたどり着けたかどうかも分かります。第三者の説明しか見ていない場合、記事を書く前に公式を確認する必要があります。
調べたが見つからなかった場合も記録します。「探したが公式の記載が見つからなかった」という事実も情報です。
5.メモの形
形式は問いません。手書きでも、機器のメモでも構いません。重要なのは、その場で開けることです。
三つの項目を毎回埋める必要もありません。急いでいるときは、場面と疑問だけ書いておき、後で補います。
完璧な記録を目指すと続きません。一行でも残っていれば、思い出す手がかりになります。
6.記録する場所を一つにする
複数の場所に分散すると、探せなくなります。メモの場所は一つに決めます。
手書きと機器を併用する場合、定期的に一か所へまとめます。まとめる日を決めておくと、散らばりません。
また、記録した内容は消さないでください。記事にした後も、更新のときに参照できます。
7.どこから疑問を拾うか
- 自分が検索したこと。検索したということは、分からなかったということ。
- 人に聞かれたこと。同じ疑問を持つ人がいる。
- 作業中につまずいたこと。手順が分かりにくかった箇所。
- 読んだ記事で分からなかったこと。説明が不足していた部分。
- 想定と違った結果。期待と実際のずれ。
一つ目が最も多く拾えます。自分の検索履歴を見返すと、記録し忘れた疑問が見つかります。
8.週に一度まとめる
記録がたまったら、週に一度見返します。似た疑問をまとめ、記事にできそうなものに印を付けます。
この作業は15分程度で終わります。毎回やる必要はありませんが、月に一度は見返さないと、記録が死蔵されます。
見返すときに、既に解決した疑問は分けます。解決の過程が記事になることもあります。
9.記事にする判断
記録した疑問のすべてが記事になるわけではありません。次の基準で選びます。
- 同じ疑問を持つ人がいそうか。
- 自分が根拠を示して答えられるか。
- 既存の記事と内容が重ならないか。
- 調べれば答えが出る疑問か。
- 一つの記事にまとまる範囲か。
二つ目を満たさない場合、まず調べます。調べて分かれば書けますし、分からなければ「分からなかった」という記録を残します。
10.疑問を分解する
大きな疑問は、そのままでは記事になりません。小さな疑問に分けます。
例えば「アフィリエイトの始め方が分からない」は大きすぎます。「何を最初に決めるのか」「費用はいくらか」「どこで開設するのか」に分けると、それぞれが記事になります。
分解すると、記事の本数も増えます。一つの大きな疑問から、数本の記事が生まれます。
11.記録が増えすぎたら
記録がたまりすぎて、どれから手を付けるか分からなくなることがあります。
この場合、優先順位を付けます。基準は、自分が今答えられるかと、同じ疑問を持つ人が多そうか、の二つです。
答えられないものは、調べる時間が必要です。まず答えられるものから書いて、記事を増やします。
12.記録から記事への流れ
メモを記事にする手順
- メモを見返し、記事にする疑問を一つ選ぶ。
- その疑問を、答えが定まる形に言い換える。
- メモに書いた「調べたこと」を確認する。
- 足りない部分を調べる。公式の情報を確認する。
- 答えを一文で書く。
- 理由と条件を書き出す。これが見出しになる。
- 本文を書く。
三つ目があるため、ゼロから調べる必要がありません。記録の有無で、記事一本にかかる時間が変わります。
資料の集め方については、ブログ記事を書く前に資料を集めるには?公式情報の探し方とメモの残し方で詳しく解説しています。
13.記録しないほうがよいもの
個人情報を含む内容は、記録の段階から注意します。他人の名前や、具体的な取引の内容などです。
記録に残すと、記事を書くときにうっかり含めてしまう可能性があります。最初から書かないほうが安全です。
14.続かない場合
記録が続かない原因は、たいてい項目が多すぎるか、開くのに手間がかかるかです。
項目を減らします。場面と疑問の二つだけでも構いません。続けるほうが優先です。
開く手間も減らします。数回の操作で書ける状態にしておかないと、その場で記録できません。
15.記録の効果
記録があると、題材に困らなくなります。書くたびに新しい疑問が生まれ、記録が増えるためです。
逆に、記録がないと、書くたびに題材を探すことになります。この探す時間が、記事を書く時間を圧迫します。
日常の経験から題材を探す方法は、人に教えられることがない人へ|日常の経験から説明できることを探すで詳しく解説しています。
16.他の人の疑問も集める
自分の疑問だけでは、いずれ尽きます。読者からの質問、問い合わせの内容も記録します。
質問は、実際の読者が持った疑問です。自分では思いつかない視点が含まれます。
答えた内容も一緒に記録しておくと、記事にするときに使えます。
17.最初の一週間
まず一週間、記録だけをやってみてください。記事を書く必要はありません。
一週間で、いくつ疑問が生まれたかが分かります。数が少なければ、疑問に気づく感度を上げる必要があります。
最初の記事の題材を決める手順は、ブログの最初の記事は何を書く?自己紹介だけで終わらせない題材選びで詳しく解説しています。
18.一週間分のメモの例
以下は架空の一週間分のメモです。三つの項目で書いています。
| 場面 | 調べたこと | 未解決点 |
|---|---|---|
| ドメインの更新案内が届いた | 更新価格が取得時と違う | 他社も同じか分からない |
| 記事に表を入れようとした | スマホで横にはみ出す | はみ出さない作り方 |
| 知人に費用を聞かれた | 自分の契約額 | 最低いくらで始められるか |
週末に見返すと、二行目の「はみ出さない作り方」は既に調べられる疑問で、三行目は記事一本分の題材になると分かります。一行目の「他社も同じか」は、複数社の料金ページを並べて確かめれば答えが出るため、調査ノートに移して次の調べものに回します。
19.まとめ
記録するのは、場面、調べたこと、未解決点の三つです。その場で記録しないと、疑問は消えます。
記録の場所は一つに決め、項目は少なくします。完璧を目指すより、続けることを優先してください。
週に一度見返し、記事にできるものに印を付けます。この習慣があると、題材を探す時間がなくなります。
記録は、書くたびに増えます。始めた直後は少なくても、数か月で十分な量になります。
記録した疑問は、記事にしなくても価値があります。自分が何を分かっていないかが見えるためです。
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