人に教えられる専門知識がなくても、書ける題材はあります。探すのは知識ではなく、自分が調べたこと、迷ったこと、失敗したことです。調べたということは、その情報が見つけにくかったということで、同じ場所で迷う人がいます。

この記事では、日常の経験を記事の題材に変える方法を扱います。どの市場に参入するか、どの広告案件と組み合わせるかという判断は、別の記事の範囲です。ここでは、自分が説明できることを見つける作業だけを行います。

1.「教えられること」の基準を下げる

教えるという言葉から、専門家が初心者に講義する場面を思い浮かべると、書けるものがなくなります。実際に求められているのは、そこまでのものではありません。

読者が探しているのは、自分より少し先に進んだ人の記録です。同じ立場で迷い、調べ、決めた過程が、次に同じ場所に来る人の役に立ちます。

つまり、基準は「その分野の第一人者か」ではなく、「自分がそれを調べたか」です。調べて分かったことなら、説明できます。

2.三つの場所から探す

経験を探す場所は三つあります。買い物、手続き、失敗です。それぞれ、思い出す手がかりが違います。

場所思い出す手がかり記事になる形
買い物何を比べて、何を決め手にしたか選び方、比較の観点、確認すべき点
手続きどこでつまずき、何を準備したか手順、必要なもの、所要時間
失敗何を見落とし、どうなったか事前に確認すべきこと、避け方

三つのうち、最も書きやすいのは失敗です。失敗には具体的な状況があり、避ける方法も明確だからです。ただし、書くときに自分を過度に責める書き方にならないよう注意します。

3.買い物の経験を掘り下げる

最近買ったものを一つ思い出します。金額の大小は問いません。そして、買うまでに何を調べたかを書き出します。

比べた候補は何個あったか。何を基準に絞ったか。決め手は何だったか。買った後に、思っていたのと違った点はあったか。この四つが埋まれば、記事の材料になります。

特に四つ目が重要です。買う前には分からず、買ってから気づいたこと。これは販売ページには書かれていない情報で、読者にとって価値があります。

4.手続きの経験を掘り下げる

何かを申し込んだ、登録した、変更した。こうした手続きの経験も題材になります。手続きは、やってみないと分からない部分が多い領域です。

書き出すのは、必要だったもの、かかった時間、つまずいた箇所、事前に知っておきたかったことです。特に「事前に知っておきたかったこと」が、記事の中心になります。

ただし、手続きの条件は変わります。自分が経験した時点を明記し、実行する人には最新の公式案内を確認してもらう形にしてください。

5.失敗の経験を掘り下げる

失敗は、記事として最も具体的になります。何を見落としたか、その結果どうなったか、今ならどうするか。この三つで構成できます。

失敗を記事にするときの構成(架空の例)

  • 状況:何をしようとしていたか。前提となる条件。
  • 判断:そのとき何を根拠に決めたか。
  • 結果:どうなったか。何が想定と違ったか。
  • 原因:後から分かった見落とし。
  • 対策:同じ場面で確認すべきこと。

この形にすると、単なる体験談ではなく、読者が使える情報になります。対策の部分がないと、読んだ人は何をすればよいか分かりません。

6.経験メモを作る

思い出した経験は、記録しておきます。記憶に頼ると、書こうとしたときに詳細が抜けます。次の項目を残しておくと、後から記事にしやすくなります。

この六項目を埋めるのに、10分もかかりません。思いついたときに書き留めておけば、題材に困らなくなります。

日常の疑問を継続的に記録する方法は、ブログの記事ネタを忘れないためには?日常の疑問をメモに変える方法で詳しく解説しています。

7.書ける経験と書けない経験

すべての経験が記事になるわけではありません。書けるかどうかの見分け方があります。

書ける経験書けない経験
他の人も同じ場面に遭遇する自分固有の事情による
判断の根拠を説明できるなんとなく決めた
結果が確認できたどうなったか分からない
他人に迷惑をかけずに書ける第三者の個人情報が含まれる
条件を添えて書ける条件が特殊すぎる

右側に当てはまるものは、無理に書かないほうが無難です。特に、第三者が関わる話は、本人が特定されないかを慎重に確認してください。

8.経験を一般化しすぎない

自分の経験から、すべての人に当てはまる法則を導くことはできません。一度の経験は一つの事例であって、傾向を示すものではありません。

書き方としては、「自分の場合はこうだった」という形にします。「〜すべきだ」「〜は必ず〜になる」といった書き方は、根拠を超えています。

逆に、条件を明示すれば、経験は有効な情報になります。どういう状況で、何をして、どうなったか。読者は自分の状況と比べて判断できます。

事実と感想と推測を書き分ける方法は、ブログに自分の意見を書いてよい?事実・感想・推測の分け方で詳しく解説しています。

9.経験がないことも書ける

経験がなくても、調べたことは書けます。ただし、その場合は経験があるように書かないことが条件です。

「公式資料によると」「確認したところ」といった形で、情報の出どころを示します。使ったことのない商品について、使ったかのように書くのは避けます。

調べて整理した記事にも価値があります。情報が散らばっていて分かりにくい分野では、整理されているだけで役に立ちます。

10.経験を増やす

書ける経験が足りないと感じたら、意識的に経験を作る方法もあります。何かを申し込む、比べて買う、手続きをする。そのときに記録を取れば、題材になります。

ただし、記事にするためだけに不要な契約をするのは避けてください。費用がかかるうえ、必要のないものについて書いても、説得力が出ません。

日常でやることに、記録を足すだけで十分です。どうせやる手続きなら、その過程を残しておけば題材になります。

11.最初の一本を選ぶ

経験メモが数件たまったら、その中から一本目を選びます。選ぶ基準は、同じ場面に遭遇する人が多そうか、自分が根拠を示せるか、の二つです。

珍しい経験ほど面白いと思いがちですが、珍しすぎると読む人がいません。よくある場面で、しかし情報が見つかりにくかったこと。この条件に合うものが、最初の一本に向きます。

最初の記事の題材を絞る手順は、ブログの最初の記事は何を書く?自己紹介だけで終わらせない題材選びで詳しく解説しています。

12.経験を記事に変える手順

メモがたまったら、記事の形にします。手順は決まっています。まず、その経験から読者が持ちそうな疑問を一つ取り出します。

次に、その疑問への答えを一文で書きます。自分が実際にどうしたか、そしてなぜそうしたか。この二つが答えの中身になります。

三つ目に、読者の状況が自分と違う場合を考えます。条件が違えば答えも変わるので、その条件を明示します。ここを書かないと、自分の事例を一般論として押しつけることになります。

最後に、実行する人が確認すべき点を添えます。自分が経験した時点から変わっている可能性がある項目です。この四段階で、経験が記事になります。

13.続けるうちに変わること

記事を書き始めると、日常の見え方が変わります。何かに迷ったとき、「これは記事になるかもしれない」と考えるようになります。

この状態になると、題材が尽きることはありません。経験は毎日増えますし、調べたことも記録に残ります。

最初は「書けることがない」と感じても、探す場所を決めて掘り下げれば、材料は出てきます。専門家になってから始める必要はありません。

逆に言えば、探す場所を決めていないから見つからないだけです。買い物、手続き、失敗。この三つを順に思い返せば、書ける材料はたいてい二つや三つは出てきます。

ただし、経験だけで書き続けるには限界があります。記事の本数が増えると、自分の経験の範囲を超えます。その段階では、調べて整理する記事と組み合わせることになります。経験は出発点であって、それだけで完結するものではありません。

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