第二事業が本業の取引先と競合する可能性があるなら、提供する商品と対象顧客、現在の契約、使う情報、営業窓口を確認してから参入を判断します。別ブランドにすることや、社内の担当を分けることだけでは、契約や顧客関係の問題が解消するとは限りません。個別の法的結論を一律に出さず、会社が何を調べて経営判断へ戻すかを整理します。
何が競合するのかを、取引の地図へ書く
商品が似ているのか、同じ顧客へ売るのか
競合という言葉には、同じ商品を売ること、同じ用途を解決すること、同じ顧客の予算を使うことなどの違いがあります。提供物の名前が違っても、顧客から見て代替になるなら競合する可能性があります。一方、同じ業界でも利用の用途が異なる場合は、影響が同じとは限りません。新事業の対象と、本業の取引先が提供するものを具体的に並べてください。
取引先との関係も、購入者、販売先、仕入先、紹介者、共同開発の相手などで異なります。新事業がどの関係へ影響するかを書きます。同じ相手と複数の契約がある場合は、一つの営業担当の理解だけでまとめません。現在の取引内容、担当、契約の資料を会社内で照合し、確認できていない関係を残します。
会社名とブランド名を分けても、関係は残る
別の名称で第二事業を始めると見せ方は変えられますが、運営する会社の取引関係がなくなるわけではありません。ブランドを分ければ本業の相手は気にしない、という見込みだけでは判断しません。会社の契約当事者、提供責任、情報の利用を確認します。名称の選択は会社名と別ブランドの比較へ渡し、競合の審査と分けて考えます。
取引先が困る場面を具体化する
相手から見ると、本業で渡した顧客情報が営業に使われる、共同で作った内容が別の商品になる、既存の提供が遅れるといった懸念があるかもしれません。反応を決めつけるのではなく、何を確認すべきかを社内で整理します。会社同士の関係が良いから問題ない、または競合するから必ず取引が終わる、といった結論に急がないことが重要です。
契約、情報、営業を別々に確認する
| 確認する対象 | 集める資料 | 会社が決める前の問い |
|---|---|---|
| 現在の契約 | 取引、販売、共同事業等の条件 | 新事業の提供や顧客へ影響する条項があるか |
| 情報・素材 | 取得元、利用目的、許諾の記録 | 新しい事業でも使える範囲か |
| 営業接点 | 顧客窓口、案内、紹介の流れ | 本業の関係を混同させないか |
| 社内の担当 | 兼務と承認、資料への権限 | 二つの事業の判断を分けられるか |
| 継続取引 | 更新、終了、提供の予定 | 本業への影響を会社が負えるか |
契約の文言を、実際の案へ照らす
現在の契約に競合、販売範囲、独占、秘密保持などに関する条件があるなら、新事業の何が関係するかを確認します。条項があるから一律に参入できない、または契約に見当たらないから自由に使える、と判断しません。実際の資料と経緯を契約担当や専門家へ渡し、会社が確認した結論を残します。必要な合意や変更がある場合も、その内容を具体化します。
確認の際は、口頭の説明や過去のやり取りも整理します。営業担当は了承を得たと考えていても、資料の用途や顧客の範囲について理解が違う可能性があります。どの内容を誰へ説明し、何が確認できたかを記録してください。専門家へ相談する場合も「競合してよいか」という一言だけでなく、対象、提供、契約の関係を渡す必要があります。
本業で受け取った情報を、公開情報と分ける
顧客の名簿、仕様、価格、作業資料などを、新しい事業へそのまま流用しないようにします。会社に保存されていることと、新事業へ使えることは同じではありません。公開されている情報、自社が独立して作った情報、取引先から受け取った情報を分類します。知識の利用と、秘密の資料や素材の利用も分けて確認してください。
中小企業庁は、知的財産の取引について契約のひな形や解説を公開しています。秘密情報やノウハウの扱いを確認する参考になりますが、自社の契約へそのまま当てはめて可否を決める資料ではありません。個別の用途と実際の条件を確認します。顧客情報を事業間で使う準備は利用目的と情報の確認へつなぎます。
営業担当の説明と資料をそろえる
新事業を案内する担当が、本業の契約や紹介関係を使う場合は、説明してよい範囲を決めます。本業の相手と提携しているように受け取られる表現や、相手の商品を自社の提供物と誤解させる案内を避けるためです。新事業の契約者、提供する会社、問い合わせ先を明らかにし、担当者によって異なる説明が出ない資料を用意します。
仮の会社で、参入する範囲を組み直す
説明用に、部品を卸す会社が、完成品の販売を第二事業として検討する場面を仮定します。実例ではありません。現在の販売先も完成品を売っているなら、同じ顧客へ届く案が影響する可能性があります。会社は、提供する製品、対象顧客、使用する資料、既存の販売契約を並べ、どこが本業の取引と重なるかを調べます。
この調査で、違う用途へ絞る、取引先へ影響する資料を使わない、会社の別担当で提供を確認するといった変更案が出るかもしれません。ただし、変更したから問題が解消したと自己判断せず、契約と会社の審査へ戻します。会社間で合意が必要かも、実際の条件へ照らして確認します。以前に検討を保留した案を再開する場合も、確認当時の契約や担当、提供条件が変わっていないかを照合してください。
変更の結果、想定した顧客へ届かなくなったり、提供費が増えたりする場合は、採算をもう一度見ます。関係に配慮するための費用を落として採用しないようにしてください。本業と関連が薄い市場へ変えるなら、需要を改めて調べます。その比較は既存事業と関連しない新規事業へ進めます。
確認が終わるまで、試行と本格開始を混ぜない
契約や情報の利用が未確認なら、外部へ出す試行をどこまで行えるかも会社が審査します。社内で公開情報を使って検討することと、既存顧客へ商品を案内することは違います。需要を早く知りたいからと、本業の情報や接点を確認前に使いません。確認する項目、担当、試行の範囲を分けてください。
進めない条件は契約前に採用しない条件を決める方法へ渡します。相手の反応や契約の確認で条件が変わった場合は、最初の計画と差を残します。本業への影響を負うのは会社なので、提案者だけの判断で参入範囲を広げず、経営の承認へ戻す基準が必要です。
公開の承認資料には、確認した契約の版、利用する情報、案内する顧客、実行する担当を添えます。承認された用途から後で商品や対象を広げる場合は、その差を再審査してください。小さな試行の条件で認めたことを、別の顧客への本格販売にも適用するとは限りません。確認の記録を計画と結び付けることで、担当者の交代後も何を認めていたかを追えるようになります。
他社商品の紹介でも、既存の関係を確認する
収益を生むアフィリエイトサイトは、他社の商品を紹介して報酬を得る事業です。商品を自社で販売しないモデルでも、本業の取引先の商品や競合する商品をどう紹介するかが問題になる場合があります。基本はアフィリエイトの解説で確認し、紹介する会社と商品を提供する会社の役割を分けます。
記事への要望と編集の判断が衝突する場合は編集と広告営業の承認ルールが参考になります。取引関係のために根拠のない比較を載せることも、既存の関係を無視して素材を使うことも計画にしません。会社は現在の契約、利用する情報、読者への説明、運営の担当を確認し、参入できる範囲を具体的に決める必要があります。