見積書は、合計金額より先に、何が含まれていて何が含まれていないかを読みます。金額が安く見えても、必要な作業が別料金になっていれば、最終的な支払額は変わります。行ごとに「この作業の結果として何を受け取れるのか」を確認するのが基本です。
この記事では、架空の見積書を使って、行ごとに確認する質問を付けていきます。制作費用の相場や、依頼先の選び方は扱いません。金額が妥当かどうかを判断するものでもありません。
1.見積書で最初に見る場所
合計金額は、最後に見ます。先に金額を見ると、高い安いの印象で判断してしまい、中身の確認が甘くなります。
最初に見るのは、項目の名称と、それぞれの項目で受け取る納品物です。次に、含まれない作業や別料金の記載を探します。
含まれない作業の記載がない見積書もあります。その場合は、質問して確認します。
2.架空の見積書
以下は説明のための架空の見積書です。実在の依頼先の金額や項目ではありません。金額は構造を示すための仮の値です。
| 項目 | 数量 | 金額(仮) |
|---|---|---|
| 企画・構成設計 | 一式 | 〇〇円 |
| サイト構築 | 一式 | 〇〇円 |
| デザイン調整 | 一式 | 〇〇円 |
| 記事作成 | 10本 | 〇〇円 |
| 画像作成 | 一式 | 〇〇円 |
| 公開作業 | 一式 | 〇〇円 |
| 公開後サポート | 1か月 | 〇〇円 |
この七行に、それぞれ確認する質問を付けていきます。
3.企画・構成設計の行
「一式」と書かれている項目は、中身が分かりません。何が含まれているかを確認します。
- 扱う分野や対象読者の提案は含まれるか。
- 記事の一覧(どんな記事を何本作るか)は納品物に含まれるか。
- 企画の修正は何回まで含まれるか。
- 企画書は文書として受け取れるか。
四つ目が見落とされがちです。口頭で説明を受けただけでは、後から確認できません。
4.サイト構築の行
サイト構築は、何を使って、どこまで作るかで中身が大きく変わります。
- ドメインとサーバーの契約は含まれるか。契約名義は誰になるか。
- サーバー代とドメイン代は、この金額に含まれるか、別途か。
- 初期設定のどこまでが含まれるか。
- 管理画面のアカウントは依頼者に渡されるか。
一つ目の契約名義は、後から移管するときに問題になりやすい部分です。
ドメインの管理名義の確認については、ブログ制作を依頼したらドメインは誰のもの?契約前に確認したい管理名義で詳しく解説しています。
5.デザイン調整の行
- 既存のテーマを使うのか、独自に作るのか。
- 有料テーマを使う場合、その費用は含まれるか。ライセンスは誰の名義か。
- スマートフォンでの表示確認は含まれるか。
- 修正の回数に上限はあるか。
デザインは修正の要望が出やすい部分です。回数の上限と、上限を超えた場合の料金を確認しておきます。
6.記事作成の行
記事作成は、本数だけでなく、一本あたりの中身を確認します。
- 一本あたりの文字数の目安はあるか。
- 調査や出典の確認は含まれるか。
- 広告リンクの設置は含まれるか。
- 修正は何回まで含まれるか。
- 記事の著作権は納品後に誰に帰属するか。
五つ目は、後から記事を別の場所で使いたくなったときに関わります。契約書でどう扱われるかを確認します。
7.画像作成の行
- 何枚作るのか。記事ごとか、サイト全体か。
- 素材を購入する場合、その費用は含まれるか。
- 画像の利用条件は、納品後も同じように使える形か。
素材サイトの画像を使う場合、ライセンスが依頼先の名義だと、依頼を終えた後に使えなくなることがあります。
8.公開作業の行
- 公開前の表示確認は、どの端末で行うか。
- 検索エンジンへの登録作業は含まれるか。
- 問い合わせフォームの動作確認は含まれるか。
公開作業は短い工程に見えますが、確認の範囲によって作業量が変わります。
9.公開後サポートの行
「1か月」と書かれていても、その間に何をしてもらえるのかは分かりません。
- 不具合の修正は含まれるか。
- 記事の追加や修正は含まれるか。
- 問い合わせへの返答までの目安は何日か。
- 期間が終わった後、延長する場合の料金はいくらか。
サポートの期間が終わった後に何が起きるかを知っておくと、自分で運用する準備ができます。
10.見積書に書かれていないこと
見積書に載っていない作業は、原則として含まれていないと考えて確認します。よく抜けているのは次のような作業です。
- サーバーとドメインの継続費用。
- ASPへの登録や提携申請の代行。
- 公開後の記事の追加。
- 操作方法の説明や資料。
- データのバックアップ。
これらが必要なら、含めてもらうか、別料金でいくらかを確認します。
11.別料金になりやすい変更
依頼した後に要望が変わると、別料金になることがあります。どういう変更が別料金になるかを、契約前に聞いておきます。
| 変更の例 | 別料金になりやすい理由 |
|---|---|
| 扱う分野を変える | 企画からやり直しになる |
| 記事の本数を増やす | 作業量が増える |
| デザインを大きく変える | 構築の作業に戻る |
| 公開日を早める | 他の作業を後回しにする必要がある |
12.質問を送るときの書き方
確認したい点は、行ごとに番号を付けて送ると、回答も行ごとに返ってきます。まとめて「全体的に教えてください」と送ると、抜けが出ます。
回答は文書で受け取ります。口頭で聞いた場合も、自分でメモを作り、「この理解で合っていますか」と確認します。
13.金額が妥当かどうか
金額が妥当かどうかを、見積書だけで判断するのは難しいことです。同じ項目名でも、含まれる作業が違えば比較になりません。
複数の見積もりを比べる場合は、行ごとの中身を揃えてから比べます。中身を揃えないまま合計金額だけを並べても、判断の材料にはなりません。
制作費用の考え方については、アフィリエイトサイト制作の費用と期間で詳しく解説しています。
14.範囲を見直す
見積もりが予算を超えた場合、どの行を削れるかを考えます。自分でできる作業があれば、その行を外してもらう方法もあります。
依頼する範囲の整理の仕方は、記事だけ頼む?サイトごと頼む?初心者が外注範囲を整理する方法で詳しく解説しています。
15.よくある質問
-
「一式」の項目は、細かく分けてもらうよう頼んでもよいですか。
頼んで構いません。項目を分けてもらうと、含まれる作業が分かり、不要な作業を外す相談もしやすくなります。分けられない事情がある場合は、含まれる作業の一覧だけでも文書でもらいます。
-
複数社の見積書で項目名が違う場合、どう比べればよいですか。
自分で共通の項目表を作り、各社の見積もりの行をその表に振り分けます。企画、構築、デザイン、記事、画像、公開、公開後の七つ程度に分けると、どの会社のどの行が同じ作業にあたるかが見えてきます。
-
見積もりより安くしてほしいと頼んでもよいですか。
予算の上限を伝えて、その範囲で何ができるかを相談するのは自然なことです。その場合、どの作業を減らすのか、自分で担当するのかを一緒に決めます。作業を変えずに金額だけを下げる相談は、品質や範囲の食い違いにつながりやすくなります。
-
契約後に見積書にない作業を頼みたくなったらどうしますか。
頼む前に、その作業が追加費用になるかを確認します。口頭で頼むと、後から金額の認識がずれることがあります。追加の見積もりを文書でもらってから依頼します。
-
見積書の有効期限が過ぎたらどうなりますか。
金額や内容が見直される場合があります。検討に時間がかかる場合は、期限が過ぎた後の扱いを事前に聞いておきます。
質問への回答は、見積書の該当する行の横に書き込んでおくと、契約書と照らし合わせるときに役立ちます。
共通の項目表を作るときは、各社の見積もりで「一式」になっている行を、分かる範囲で七つの項目に割り振ります。割り振れない行が残ったら、それがその会社に質問すべき行です。表が埋まってから合計金額を並べると、どの会社がどの作業に費用をかけているかが比べられます。
回答をもらったら、同じ表の横に書き足していきます。
16.まとめ
見積書は、合計金額より先に、行ごとの納品物と含まれない作業を読みます。
「一式」と書かれた項目は、中身を質問して確認します。
契約名義、ライセンス、著作権の扱いは、依頼を終えた後に影響するため、特に確認が必要です。
見積書に載っていない作業は、含まれていない前提で確認します。
質問は行ごとに番号を付けて送り、回答は文書で残してください。
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