少数の記事を丁寧に作るという方針には、確かな根拠があります。薄い記事を量産しても評価されにくいことは、すでに広く知られています。

ただ、その方針をそのまま延長すると、別の壁に当たります。記事の質ではなく、扱える範囲の問題です。

ここでは、少数精鋭という考え方がどこまで有効で、どこから足りなくなるのかを整理します。

一つの記事で答えられる範囲

どれだけ深く書いても、一つの記事が答えられる問いには限りがあります。

読者の状況は同じではない

  1. まだ何を選ぶか決めていない人
  2. 候補を二つに絞って迷っている人
  3. 使い始めてから困っている人
  4. 他のものから乗り換えを考えている人

一本の記事を深くしても、状況の違う読者すべてに答えることはできません。

比較記事を厚くしても、使い始めてから困っている人には届きません。必要な情報の種類が違うためです。

深さと広さは別の軸

質を落として量を増やすという話ではありません。深さと広さは、そもそも別の軸です。

深い記事が10本あるだけの状態は、深さは十分でも広さが足りません。逆に浅い記事が100本ある状態は、広さがあっても深さが足りません。

どちらか一方だけでは、読者の入口が限られます。

想定例:10本と50本の違い

考え方を整理するための想定例です。実在の数値ではありません。

深い記事が10本のみ

  • 扱える検索の種類 限定的
  • 1本あたりの依存度 高い
  • 順位が下がったときの影響 大きい

同じ深さの記事が50本

  • 扱える検索の種類 広い
  • 1本あたりの依存度 低い
  • 1本が沈んだときの影響 限定的

本数が増えると、一本ごとの重みが下がります。これは順位変動に対する余裕につながります。

数を増やすことが逆効果になる場合

ただし、増やせばよいわけではありません。逆効果になる増やし方があります。

増やすかどうかより、扱う問いが重なっていないかが判断の基準になります。

関係が見える状態にする

本数が増えたとき、記事どうしの関係を示す必要が出てきます。

整理の観点

  1. どの記事が入口で、どの記事が詳細か
  2. 読者がどの順で読むと理解しやすいか
  3. 関連する記事へどこから移動できるか
  4. 役割が重複している記事はないか

この整理がないまま数だけ増えると、読者にとっては同じような記事の集まりに見えます。本数の効果が出ないのはこの状態です。

増やす順番の決め方

扱えていない問いが複数見つかった場合、どこから作るかで結果が変わります。

この四つを満たすものから着手すると、既存の記事とつながった状態で増えていきます。関係のない記事を単独で足すより、全体として機能しやすくなります。

更新できる量を上限にする

本数の上限は、更新できる量で決まります。紹介している内容は変わりますし、条件も変わります。

手が回らない量まで増やすと、古い情報が残ったままになります。古い情報は、読者にとっても評価する側にとっても、質の低下として見えます。

少数で足りる場合もある

すべての媒体で本数が必要になるわけではありません。

扱う対象が一つに絞られていて、読者の状況もほぼ同じなら、少数の記事で十分に機能します。特定の資格や特定の手続きを扱う場合が、これに当たります。

問題になるのは、扱う対象が広いのに記事の本数が少ない場合です。

自分がどちらに当てはまるかは、想定している読者の状況を書き出せば見えてきます。

この記事で扱っていない範囲

ここで述べたのは、扱う問いの種類と本数の関係です。どの問いが検索されているか、どの程度の需要があるかという話は含んでいません。

実際に増やす際は、扱えていない問いに需要があるかを別途確認する必要があります。需要のない問いを埋めても、読者は増えません。

いま、何種類の問いを扱えているか

本数を数える前に、扱えている問いの種類を数えてみてください。10本あっても、扱っている問いが2種類なら、広さは2種類分です。

足りない種類が見つかったら、そこから増やします。本数を目標にするより、扱えていない問いを埋めるほうが、結果として無駄が少なくなります。

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