技術的には載せられますが、判断すべき点があります。企業サイトを訪れる人と、商品を比較している人では、求めている情報も、サイトに期待する立場も違います。同じ場所に置くと、どちらの読者にも中途半端になることがあります。
この記事では、判断のための整理方法を扱います。契約上や法務上の可否については、個別の状況によるため断定しません。就業規則、取引先との契約、業界の規制などは、それぞれ確認してください。
1.読者が違う
| 企業サイトの訪問者 | 商品を比較している人 | |
|---|---|---|
| 来た目的 | 会社の情報を知りたい | どれを選ぶか決めたい |
| 見たいもの | 事業内容、実績、連絡先 | 条件の比較、向き不向き |
| 期待する立場 | その会社の当事者としての説明 | 第三者としての整理 |
| 広告への反応 | 会社の商品の案内だと思う | 他社商品の紹介と理解する |
| 来る経路 | 会社名で検索、名刺から | 困りごとで検索 |
四行目が問題になります。企業サイトに他社商品の広告があると、訪問者は「この会社が扱っている商品」だと受け取ることがあります。実際には紹介しているだけなので、誤解が生じます。
2.目的が違う
企業サイトの目的は、その会社を知ってもらい、問い合わせや取引につなげることです。情報は、会社の信頼性を示す方向に整理されています。
商品を紹介する記事の目的は、読者が選べるようにすることです。他社を含めた比較や、自社に不利な条件も書くことになります。
この二つが同じサイトにあると、どちらの目的も達成しにくくなります。比較記事を読んだ人は、その会社の主張をどこまで信用してよいか判断に迷います。
3.掲載判断シート
載せるかどうかを決めるとき、次の項目を確認します。一つでも問題があれば、別の場所を検討する理由になります。
- 紹介する商品は、自社の事業と関係があるか。
- 自社の商品と競合しないか。
- 訪問者が、自社の商品と誤解しないか。
- 広告であることを明示できる場所があるか。
- 社内で掲載の判断をする権限を持っているか。
- 取引先との契約に、抵触する内容はないか。
- 会社の信用に影響が出ないか。
五つ目を飛ばさないでください。自分が管理しているサイトでも、掲載の判断が自分の権限内かどうかは別の問題です。
4.事業と関係がある場合
自社の事業と関係のある商品なら、紹介する意味があります。顧客が必要とするものを案内する形になり、訪問者にとっても有用です。
例えば、あるサービスを提供している会社が、そのサービスと併用する道具を紹介する。この形なら、読者の目的とも合致します。
この場合でも、広告であることは明示します。関係があるからこそ、推薦の理由が広告費なのかどうかを読者が知る必要があります。
広告であることの表示については、アフィリエイトの広告表記はどこに入れる?で詳しく解説しています。
5.事業と関係がない場合
まったく関係のない商品を載せると、訪問者は違和感を持ちます。会社を調べに来た人が、無関係な商品の広告を見ることになります。
また、会社の信用を使って広告収入を得ている形に見えることがあります。取引先や顧客がどう受け取るかを考える必要があります。
この場合は、別のサイトを用意するほうが無難です。会社のサイトと分けておけば、どちらの目的も損ないません。
別のサイトを作るかどうかの判断は、今ある日記ブログでアフィリエイトを始める?別サイトを作る?で詳しく解説しています。
6.自社商品と競合する場合
自社が販売している商品と競合するものを紹介するのは、避けたほうがよい場面です。読者から見て、どちらを勧めているのか分かりません。
また、社内でも問題になります。自社の営業が売っている商品の競合を、自社サイトで紹介している状態になります。
比較記事を書きたい場合は、自社商品を含めない形にするか、別の場所で行うほうが整理しやすくなります。
7.社内の確認
自分がサイトを管理していても、掲載の判断が自分の権限にあるとは限りません。広報、法務、営業など、関係する部署に確認が要る場合があります。
確認すべきなのは、掲載してよいか、収益をどう扱うか、表示をどうするか、の三点です。特に二つ目は、会社の収入として処理するのか、個人の収入にするのかで扱いが変わります。
個人の収入にする場合、就業規則や兼業に関する規定の確認が必要になります。会社の資産であるサイトを使って個人が収入を得る形は、問題になりやすい部分です。
8.収益の帰属
会社のサイトに広告を載せた場合、報酬は誰のものかという問題が生じます。ASPへの登録名義、振込先の口座、会計上の処理が関わります。
会社として取り組むなら、法人名義で登録し、会社の収入として処理します。個人が勝手に個人名義で登録して受け取るのは、後から問題になります。
この点は、掲載を始める前に決めておきます。収入が発生してから整理しようとすると、処理が複雑になります。
9.運営の担当
会社のサイトで記事を書く場合、誰が書くのか、業務時間内か、といった点も決めておきます。
記事は書いて終わりではなく、更新が必要です。担当者が異動したときに、誰が引き継ぐのかも決めておかないと、古い情報が残り続けます。
特に、広告の条件が変わったときの対応が必要です。案件が終了すればリンク先がなくなります。定期的に確認する担当を決めておきます。
10.分ける場合の方法
会社のサイトとは別に、情報を提供するサイトを作る方法があります。会社が運営していることを明示したうえで、独立した媒体として運営する形です。
この場合、どちらが運営しているかを隠さないことが前提です。関係を隠して第三者を装うと、信頼を損ないます。
分けることで、会社の案内と商品の比較を、それぞれの目的に沿って作れます。訪問者も、何を読んでいるのかが明確になります。
11.既存の訪問を当てにしない
会社のサイトに一定の訪問があるから有利だ、と考えるのは早計です。訪問者の目的が違うためです。
会社名で検索して来た人は、商品を比較する段階にいません。訪問数があっても、広告からの成果にはつながりにくくなります。
商品を比較している人に来てもらうには、その疑問に答える記事が必要です。これは、会社のサイトにあってもなくても同じ作業です。
12.表示の位置
掲載すると決めた場合、広告であることをどこに書くかを決めます。記事の冒頭に置くのが基本です。
会社のサイトの場合、さらに注意が要ります。自社の案内と、広告を含む記事が区別できる形にします。同じ見た目で並んでいると、訪問者は区別できません。
分類を分ける、記事の冒頭に位置づけを書く、といった方法があります。訪問者が今どの種類のページを見ているか分かる状態にします。
13.取引先への影響
会社のサイトは、取引先も見ます。競合する商品を紹介していれば気づかれますし、無関係な広告があれば疑問を持たれます。
影響を事前に完全に把握することはできませんが、想定はできます。主要な取引先が見たときにどう思うかを考えてから判断します。
判断に迷う場合は、載せないほうが安全です。載せて問題が起きると、取り下げるだけでは済まないことがあります。
14.判断の流れ
掲載するかどうかの判断順序
- 紹介したい商品が、自社の事業と関係するか確認する。
- 自社商品と競合しないか確認する。
- 社内の関係部署に確認する。権限、規則、契約を調べる。
- 収益の帰属と処理方法を決める。
- 広告であることの表示方法を決める。
- 更新と管理の担当を決める。
- 一つでも決まらない項目があれば、別のサイトを検討する。
この順序で進めると、後から問題が出にくくなります。逆に、載せてから確認すると、取り下げや説明が必要になります。
15.結論
会社のサイトに載せられるかどうかは、事業との関係と、社内の確認で決まります。技術的な可否ではなく、目的と読者の一致が判断の基準です。
関係が薄い、確認が取れない、判断に迷う。このいずれかに当てはまるなら、別のサイトを用意するほうが結果として早く進みます。会社の信用に関わる判断は、慎重にしておいて損はありません。
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