サイトを運営していると、企業から直接連絡が来ることがあります。アフィリエイトは成果が出たときに広告費を受け取る仕組みで、PR依頼は掲載そのものに対して契約を結ぶ形が中心です。報酬の決まり方も、事前に取り決める内容も違います。
この記事では、依頼の形を三つに分けて、それぞれの契約と報酬の基礎を整理します。広告であることを示す表示について、どの位置にどう書くかという具体的な作り方は、別の記事の範囲です。ここでは依頼を受ける前の判断を扱います。
1.依頼の形は大きく三つ
| 形 | 報酬の決まり方 | 成果との関係 | 主な取り決め |
|---|---|---|---|
| 固定の掲載料 | 掲載すること自体に対して支払われる | 売れなくても支払われる | 掲載期間、掲載位置、内容の確認 |
| 成果報酬 | 申込や購入が成立したときに支払われる | 成果に連動する | 成果条件、計測方法、承認の基準 |
| 商品提供 | 商品やサービスが無償で提供される | 金銭の支払いはないことが多い | 提供物の範囲、返却の要否、掲載義務の有無 |
アフィリエイトは、この中では成果報酬にあたります。違うのは、ASPを介して条件が定型化されているか、企業と直接やり取りして個別に決めるか、という点です。直接の依頼では、条件が書面に残らないまま進むことがあるので注意が要ります。
2.仮の依頼文を読み分ける
次の三つは、説明のために作った架空の依頼文です。それぞれが、どの形にあたるかを考えてみてください。
架空の依頼文と読み取り方
- 「弊社の新商品について記事を1本作成いただき、掲載料として一律の金額をお支払いします」→ 固定の掲載料。売れたかどうかに関係なく支払われる。掲載期間と、記事を消してよい時期を確認する。
- 「専用のリンクを設置いただき、成約1件につき報酬をお支払いします」→ 成果報酬。ASPを通すのか直接なのか、計測はどう行うのか、支払時期はいつかを確認する。
- 「サンプルを無償でお送りしますので、ご感想を掲載ください」→ 商品提供。金銭の支払いがなくても、提供を受けて書く以上は広告に該当する場合がある。
三つ目が判断に迷いやすい形です。お金を受け取っていないから広告ではない、とは言えません。提供を受けたことが読者に分からなければ、第三者の自発的な感想のように見えてしまいます。
3.広告であることを示す必要
消費者庁は、広告であるにもかかわらず広告であることを隠す表示について、景品表示法上の規制の対象としています。令和5年10月1日から適用されています。規制の対象となるのは商品やサービスを供給する事業者、つまり広告主の側であり、依頼を受けた側が規制対象になるわけではないと案内されています。
ただし、規制の対象でないことと、書かなくてよいことは別です。読者から見て広告と分からない記事は、後から関係が明らかになったときに信用を失います。依頼を受けて書いた記事には、その関係が分かる表示を入れるのが基本です。
表示の要否や書き方について判断がつかない場合は、依頼元にも確認します。広告主の側が規制対象である以上、どう表示してほしいかの意向を持っていることが多いためです。
表示をどの位置にどう入れるかについては、アフィリエイトの広告表記はどこに入れる?で詳しく解説しています。
4.依頼を受ける前に確認する項目
直接の依頼は、条件が口頭やメールだけで進むことがあります。後から食い違わないように、次の項目を文面で残しておきます。
- 報酬の形と金額。固定なのか成果報酬なのか、いくらか。
- 支払の時期と方法。請求書が必要か、いつ振り込まれるか。
- 掲載する内容の範囲。原稿の確認はあるか、修正の依頼はどこまで受けるか。
- 掲載期間。いつまで残す必要があるか、削除してよい時期はいつか。
- 広告であることの表示。どのように書くか。
- 独占の有無。競合他社の商品を同時に紹介してよいか。
- 成果報酬の場合の計測方法と、成果の確認手段。
特に見落とされやすいのが、掲載期間と独占の項目です。「ずっと残してください」という前提で進んでいると、後から記事を整理したいときに動けなくなります。
5.原稿の確認をどこまで受けるか
依頼元が原稿を確認したいと言ってくる場合があります。事実の誤りを直すための確認であれば、記事の正確さが上がるので受ける意味があります。
一方で、不利な点を削ってほしい、他社より優れていると書いてほしい、といった依頼は別です。確認していない内容を書けば、読者に対して誤った説明をすることになります。どこまで応じるかを、受注の前に決めておく必要があります。
対応としては、「事実誤認の指摘は反映する。評価や比較の記述は自分の確認した範囲で書く」といった線を最初に伝えておく方法があります。後から断るより、受ける前に伝えるほうが揉めにくくなります。
6.アフィリエイトとの併用
同じサイトで、アフィリエイトの記事と、依頼を受けた記事の両方を掲載することはできます。ただし、読者から見て区別がつくようにしておく必要があります。
また、同じ商品について、アフィリエイトのリンクを貼りながら固定の掲載料も受け取る、という形になる場合は、契約上問題ないかを確認します。二重に報酬を受け取ることが禁止されている場合があります。
読者の立場からは、どちらも広告です。区別が必要なのは自分の管理のためであって、読者に対しては、いずれも広告であることが分かる状態にしておきます。
7.報酬の受け取り方も違う
アフィリエイトでは、ASPが報酬をまとめて振り込みます。請求書を作る必要は通常ありません。締め日と支払日が決まっていて、条件を満たせば自動的に処理されます。
直接の依頼では、相手先ごとに手続きが発生します。請求書の発行を求められることもあれば、先方の様式に記入する場合もあります。支払時期も取引先ごとに違うため、いつ入金されるのかを個別に把握する必要があります。
件数が少ないうちは大きな手間になりませんが、複数の依頼を並行して受けると管理が増えます。受ける前に、請求と入金の手順を確認しておくと、後から慌てずに済みます。
8.断る場合の伝え方
条件が合わない依頼は、断って構いません。扱っていない分野である、確認できない内容を書く必要がある、掲載期間の条件が合わない。理由を一つ挙げて、簡潔に伝えれば足ります。
避けたいのは、曖昧な返事のまま放置することです。相手は待つことになりますし、後から断ると迷惑が大きくなります。受けられない場合は早めに返すほうが、次の依頼につながります。
また、条件を調整すれば受けられる場合は、その旨を伝えます。「この部分は書けないが、こちらなら書ける」という形で返すと、相手も判断しやすくなります。
9.依頼を受ける前に返信で確認する文面の例
条件が曖昧な依頼には、確認したい項目を番号付きで返します。以下は架空の依頼に対する返信の例です。
確認の返信(架空)
- 報酬は掲載料の固定額でしょうか、それとも成約に応じた報酬でしょうか。
- 原稿の事前確認がある場合、確認の範囲は事実関係の誤りに限る形でよいでしょうか。
- 掲載の期間と、期間後に記事を整理してよいかを教えてください。
- 記事の冒頭に、依頼を受けて作成した旨を記載します。表記の指定があれば教えてください。
四つ目を先に伝えておくと、広告であることを隠す形の依頼かどうかも、相手の返答で見分けられます。
10.最初の依頼が来たときの進め方
初めて依頼が来ると、断ると次がないのではと考えがちです。しかし、条件が不明なまま進めると、後から負担だけが残ります。分からない点を質問すること自体が、相手にとって不都合になることはまずありません。
質問しても回答が曖昧な場合や、書面での確認を避けられる場合は、慎重に判断してよい場面です。条件をはっきりさせられる相手のほうが、継続的な取引先としても安心できます。
また、依頼が来るということは、サイトが誰かの目に触れているということでもあります。どの記事を見て連絡してきたのかを聞いておくと、自分のサイトのどこが読まれているのかが分かります。
依頼の形を見分けられるようになると、自分から提案することもできるようになります。まずは三つの形と、確認すべき項目を手元に置いておいてください。
なお、始めたばかりの段階では、直接の依頼はほとんど来ません。まずはASPを通した成果報酬の仕組みで、掲載条件の読み方と記事の作り方を身につけるのが順序として自然です。直接の依頼は、その延長線上に出てくるものと考えておいてください。
参考資料・公式情報
公式情報の確認日:2026年9月12日。仕様・料金・規約は変更されるため、実行時は最新の公式案内を確認してください。
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