「月間◯万PV」という数字はよく目にします。一方で、そのサイトがいくら利益を出しているかは、あまり示されません。
これは何かを隠しているという話ではありません。公表しやすい数字と、そうでない数字があるというだけです。
ただ、受け取る側がこの違いを意識していないと、示された数字から実態とは違う印象を持つことになります。
公表しやすい数字の条件
外部に示しやすい数字には、いくつかの共通点があります。
公表されやすい数字の性質
- 説明が短くて済む 前提の共有が不要
- 比較しやすい 単位が分かりやすい
- 大きく見せやすい 桁が大きい
- 営業上の不利が少ない 競合に手の内を明かさない
訪問数はこの四つを満たします。売上や利益は、いずれも満たしにくい数字です。
公開されやすい数字と、事業の採算を示す数字は別のものです。
訪問数から採算は計算できない
同じ訪問数でも、収益は大きく変わります。
訪問数以外に効く要素
- 読者がどの検討段階にいるか
- 紹介している商品の成果報酬
- 成果が確定する割合
- 制作や運用にかかっている費用
訪問が少なくても、成約に近い読者を集め、単価の高い商品を扱っていれば、収益は大きくなります。逆も同じです。
したがって、訪問数だけを見ても、その媒体が事業として成立しているかは判断できません。
経費が見えないと、利益は分からない
売上が示されていても、それだけでは足りません。
- 記事制作の外注費
- デザインやシステムの費用
- 広告費
- 各種ツールの月額
- 本人が費やした時間
これらを引いた後に何が残るかが、事業としての結果です。
売上の大きさと、手元に残る金額は別の話です。
特に最後の項目は数字に表れません。同じ売上でも、一人で全て行った場合と、外注体制を組んだ場合では、意味がまったく違います。
想定例:同じPV、違う採算
考え方を整理するための想定例です。実在する媒体の記録ではありません。
Aの構成
- 月間訪問 10,000
- 読者の段階 比較・検討が中心
- 紹介商品の単価 高め
Bの構成
- 月間訪問 10,000
- 読者の段階 情報収集が中心
- 紹介商品の単価 低め
公表される数字はどちらも同じです。しかし、事業としての状態はまったく違います。訪問数だけを比べても、この差は見えません。
自分の媒体では、両方を見る
外部への公表とは別に、自分の判断のためには採算まで見る必要があります。
- 月の売上(確定した成果の合計)
- 月の支出(外注費・ツール・広告)
- 自分が使った時間
- 差し引いて残った金額
- その金額を、使った時間で割った値
最後の項目まで出すと、事業としての効率が見えます。訪問数が伸びていても、この数字が改善していなければ、構造に問題が残っています。
他人の数字を参考にするときの見方
公開されている数字を参考にすること自体は有用です。ただし、何が含まれていて何が含まれていないかを確認すると、受け取り方が変わります。
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その数字はいつの時点のものですか
単月の最高値なのか、継続している水準なのかで意味が違います。特定の時期に需要が集中する分野では、良かった月だけを示すこともできます。継続期間まで触れているかどうかが判断材料になります。
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運営体制は示されていますか
一人で運営しているのか、外注や複数人で回しているのかで、同じ売上の意味が変わります。体制に触れていない数字は、再現に必要な条件が抜けた状態で示されていることになります。
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どれくらいの期間で到達しましたか
運営年数が分かると、必要な蓄積の量が推測できます。すでに別の媒体を運営していた人が新しく立ち上げた場合、ゼロからの期間とは条件が違います。この点も、示されていないことが多い部分です。
時間あたりの成果で見ると判断が変わる
売上から支出を引いた金額を、投じた時間で割ってみると、事業としての状態が見えます。
確認の手順
- 月の確定成果を合計する
- 外注費・ツール・広告費を引く
- その月に自分が使った時間を数える
- 残った金額を時間で割る
- 数か月分を並べて、推移を見る
この数字が上がっているなら、構造は改善しています。売上が伸びていても数字が横ばいなら、作業量の増加で売上を支えている状態です。
後者の場合、記事を増やし続けても状況は変わりません。単価の高い商品へ切り替える、外注できる工程を分ける、といった構造の変更が必要になります。
訪問数を公表することが悪いわけではない
ここまで読むと、PVを示す媒体を疑うべきだという主張に見えるかもしれません。そうではありません。
訪問数は媒体の規模を示す指標として実際に使われています。広告主に対して掲載価値を説明する場面では、共通の尺度として機能します。示すこと自体に問題はありません。
問題は「示された数字から採算まで推測すること」であって、訪問数を公表すること自体ではありません。
また、どの数字が重要かは目的によって変わります。広告枠を販売する媒体では訪問数が直接の商品になりますし、成果報酬型では成約に近い読者の数が重要になります。収益の仕組みによって、見るべき指標は変わります。
自分の媒体を、どの数字で語るか
いま自分の媒体の状態を説明するとしたら、どの数字を使うでしょうか。
訪問数しか出てこないなら、それ以外の指標がまだ整理されていない可能性があります。成果の件数、確定した割合、かかっている費用。この三つを把握しておくと、判断の材料が増えます。外に出す必要はありませんが、自分では持っておく価値があります。
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