記事の制作が追いつかない。だから書き手を増やす。人数が倍になれば、公開できる本数も倍になるはずです。
ところが、実際にはそうならないことがあります。納品は増えたのに、公開される本数が変わらない。
制作の速度を決めているのが、書き手の人数ではない場合があるためです。
公開までには、書く以外の工程がある
原稿が届いてから公開されるまでに、いくつかの作業が挟まります。
納品後の工程
- 内容を確認する
- 修正を依頼する、または自分で直す
- 事実関係を確かめる
- 導線と内部リンクを整える
- 公開して、関連ページから案内を置く
確認する側と入稿する側の能力が変わらなければ、原稿の待ち行列が伸びるだけです。
これらの工程を担っているのが一人なら、その人の処理量が全体の上限になります。
人数を増やすと、確認の負担も増える
書き手が増えると、確認すべき原稿も比例して増えます。
人数を倍にした場合
- 納品 倍になる
- 確認の作業量 倍になる
- 確認する人 変わらない
- 結果 未確認の原稿がたまる
さらに、書き手ごとに文体や構成の癖が違うため、統一する作業も増えます。人数が増えるほど、この調整に時間がかかります。
結果として、原稿は増えたのに公開が遅れるという状態になります。
詰まっている場所を先に測る
増員を決める前に、どこで止まっているかを確認します。
- 納品されてから公開までに何日かかっているか
- その期間のうち、どの工程に時間がかかっているか
- 未着手の原稿が何本たまっているか
- 自分の作業時間のうち、確認に使っている割合
3番目が多いなら、書き手を増やしても状況は悪化します。まず、たまっている分を処理する体制が必要です。
2番目で時間がかかっている工程が特定できれば、そこを分担するほうが効果的です。
想定例:書き手を3人から6人にした場合
考え方を整理するための想定例です。実在する体制の記録ではありません。
増員後の状態
- 月間の納品 15本 → 30本
- 月間の公開 15本 → 17本
- 未公開の在庫 増加
- 費用 倍増
費用は倍になりましたが、公開はほとんど増えていません。増えた原稿が確認待ちで滞留しているためです。
この場合、次に必要なのは書き手ではなく、確認と入稿を担う人です。あるいは、確認の手順を簡略化する仕組みです。
確認の負担を下げる方法
人を増やす以外に、工程そのものを軽くする手もあります。
負担を下げる工夫
- 発注時の指示を詳しくして、修正の回数を減らす
- 確認する項目を四つ程度に絞る
- よくある修正を書き手に共有し、事前に防ぐ
- 導線の設置を、発注内容に含める
1番目が最も効きます。修正の往復が一回減るだけで、公開までの日数は大きく縮まります。
3番目は、同じ指摘が繰り返されている場合に有効です。指示に追加すれば、その修正は発生しなくなります。
分担するなら、確認の工程から
人を増やす場合でも、どの工程に入ってもらうかで効果が変わります。書き手より先に検討したい役割があります。
分担の候補
- 原稿の一次確認(誤りや抜けのチェック)
- 事実関係の裏取り
- 公開作業と内部リンクの設置
- 公開後の情報更新
1番目を分けると、自分は最終確認だけに集中できます。全文を読む作業が減るため、処理できる本数が上がります。
3番目と4番目は手順が決まっているため、任せやすい部分です。判断を含まない作業から分けていくと、体制を組みやすくなります。
体制を広げるときに迷いやすい点
人数と工程の組み合わせは、状況によって最適解が変わります。
-
書き手の人数はどれくらいが適切ですか
確認できる本数から逆算します。月に20本を確認できる体制なら、それを超える納品は在庫になります。人数ではなく、処理できる本数を基準にすると決めやすくなります。
-
書き手ごとに品質がばらつきます
指示の内容が統一されているかを確認します。同じ発注書を使っていても、口頭で補足した部分が人によって違うと差が出ます。伝える内容を文面に揃えるだけで、ばらつきは減ります。
-
在庫がたまってしまいました
一時的に発注を止めて、処理を優先する判断もあります。在庫を抱えたまま発注を続けると、費用だけが先行します。止めることに抵抗を感じやすい部分ですが、公開されない原稿は成果を生みません。
増員が有効な場面もある
ここまで読むと、人を増やすべきでないという主張に見えるかもしれません。そうではありません。
確認と入稿の体制が整っていて、原稿の供給が足りない状態であれば、増員はそのまま公開本数の増加につながります。ボトルネックが制作側にあるなら、増やす判断は正しくなります。
問題は「詰まっている場所を確かめずに増やすこと」であって、増員そのものではありません。
また、どこが詰まるかは体制によって変わります。一人で運営している場合は確認が、複数人で分担している場合は情報共有が詰まりやすくなります。自分の体制で何が滞っているかを見て判断してください。
いま、何本が待っているか
納品済みで未公開の原稿が、いま何本あるでしょうか。
数本たまっているなら、供給ではなく処理が追いついていません。この状態で発注を増やすと、在庫が積み上がるだけです。まず処理の側を整えるほうが、同じ費用で結果が変わります。
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