発注時に伝えるのは、キーワードと文字数だけ。管理は簡単で、依頼のやり取りも短く済みます。

ただ、この情報だけでは、書き手は誰に向けて書けばよいかを判断できません。同じ語句でも、検索している人の状況はさまざまだからです。

結果として、想定できる範囲の中で最も無難な内容が納品されます。

同じ語句でも、読者の立場が違う

一つのキーワードの背後には、複数の状況が混在しています。

同じ語句で検索する人の例

  • 初めて調べる人 基礎から知りたい
  • 比較している人 違いを知りたい
  • 申込直前の人 条件を確認したい
  • すでに利用中の人 使い方を調べたい

同じ語句でも、読者の立場や検討段階によって答えるべき内容は変わります。

どの層に向けるかを指定しなければ、書き手は全員に当てはまる内容を選ぶことになります。

全員向けにすると、誰にも届かない

対象が絞られていない記事は、次のような構成になりがちです。

どの段階の読者にも一応対応していますが、それぞれにとっては余分な部分が多くなります。

比較したい読者は前半を飛ばし、基礎を知りたい読者は後半を読みません。結果として、どちらも中途半端な体験になります。

キーワードに添えるべき情報

指示に数行足すだけで、納品物は変わります。

最低限伝えたい四項目

  1. この語句で検索する読者のうち、どの層に向けるか
  2. その読者が読み終えた後に判断できるべきこと
  3. この記事の役割(入口か、比較か、申込前か)
  4. 読者が次に進む先

1番目を指定するだけでも、構成は大きく変わります。基礎の説明が不要だと分かれば、その分を比較に使えます。

4番目まで伝えると、記事の終わり方も決まります。案内を入れる前提で書いてもらえます。

想定例:情報を足した場合

考え方を整理するための想定例です。実在する取引の記録ではありません。

キーワードのみ

  • 納品物 基礎から網羅した長い記事
  • 対象 不特定

四項目を添えた場合

  • 納品物 比較段階に絞った記事
  • 対象 候補を絞っている読者

費用も文字数も変えていません。渡した情報を増やしただけで、記事の性質が変わります。

どの層に向けるかを決める方法

発注側も、対象を決めるには根拠が要ります。難しい調査は必要ありません。

2番目と3番目で、その語句がどの段階の読者に対応しているかが推測できます。

4番目を加えると、媒体全体のなかでその記事に持たせるべき役割が決まります。

同じ語句で複数の記事を作る場合

対象を絞ると、一つの語句に対して複数の記事を作る選択も出てきます。分ける場合の考え方を整理します。

分けるときの判断

  1. 読者の段階が明確に違うか
  2. それぞれに十分な内容があるか
  3. 記事同士が競合しない構成にできるか
  4. 相互に案内を置けるか

3番目が重要です。同じ語句を狙った記事が二本あると、どちらを主として扱うか判断されにくくなります。狙う語句をずらすか、片方を補足の位置づけにする必要があります。

2番目で内容が足りないなら、分けずに一本の中で段階別に構成するほうが機能します。見出しで探せる形にすれば、それぞれの読者が必要な部分に到達できます。

発注量が多い場合の運用

毎回四項目を書くのが負担になる場合、まとめて管理する方法があります。

2番目の形にすると、発注の準備が表への記入で済みます。語句を並べる際に、その語句がどの段階に対応するかも同時に整理されるため、媒体全体の構成も見えやすくなります。

この表は、記事の役割分布を確認する資料にもなります。入口ばかりが並んでいれば、比較や申込前の記事が不足していると分かります。発注管理と構成管理を同じ表で兼ねられる形です。

キーワードを指定すること自体は必要

ここまで読むと、キーワード指定に意味がないという主張に見えるかもしれません。そうではありません。

どの検索に対応する記事かを決めるのは、発注の出発点です。これがなければ、そもそもどのテーマを扱うかも定まりません。指定すること自体は欠かせません。

問題は「キーワードだけで指示が完結すると考えること」であって、キーワードを指定すること自体ではありません。

また、必要な情報量は語句の性質によって変わります。対象が明確な語句なら追加の指定は少なくて済みますし、幅広い語句ほど絞り込みの指示が要ります。実際に検索して確認すれば判断できます。

次の発注に、四行足してみる

いま使っている発注書に、対象読者・判断できるべきこと・記事の役割・次に進む先の四つを書き足してみてください。

四行増えるだけです。それでも、納品される記事の性質は変わります。相手を変えるより、渡す情報を増やすほうが早く結果が出ます。

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