「その間は、何をしていたんですか」。久しぶりに仕事の話をすると、この質問が頭の中へ先回りしてくる。うまく一言で言えない期間は、説明の欄だけを見ると空いて見える。けれど、洗濯も買い物も人とのやり取りも止まっていなかった。カレンダーが白いからといって、毎日が留守だったわけではない。
仕事を離れていた理由は人それぞれで、無理に全部語る必要もない。ここでしてみたいのは、採用のためにすべてを立派な実績へ変える作業ではなく、その期間に自分が何を考え、どう動いていたかを思い出すことだ。「何もしていなかった」の一言を、少しだけ細かくしてみよう。
空白という名前の下に、違う毎日がある
仕事をしていなかった期間にも、生活は続いている。家族の都合で予定を組み替えた人、学び直した人、休むことを優先した人、次に何をしたいか決まらず考えていた人。全部を一つの「ブランク」へ入れると、その違いが見えなくなる。
最初から価値のある経験を探そうとしなくてよい。普通の一日を、朝から思い出してみる。誰と話し、何を調べ、何を決めたか。仕事らしい言葉に直すのは後でよい。まず事実として、その日にしていたことを並べる。
休んでいた時間を、何かの能力を身につけた時間へ無理に言い換える必要もない。休む必要があったなら、それはそのときの選択だ。すべてを成長物語として回収しようとすると、当時の自分へ後から宿題を出すことになる。
紙に書きたくない事情があれば、その部分は伏せてもよい。自分のための棚卸しと、他人へ話す説明は同じ物でなくてよい。どの範囲を外へ出すかは、内容が見えてから選べる。
大きな出来事より、繰り返した判断を探す
一年を振り返ろうとすると、引っ越しや資格などの大きな出来事がないと困りやすい。そこで、最近の一週間へ範囲を小さくしてみる。同じことを何度も判断した場面はなかっただろうか。
家の予定を合わせた、必要な物を比較した、初めて使うサービスの条件を調べた、家族へ操作を説明した。自分には用事にしか見えない作業にも、順番を考えた跡がある。ただ、それをすぐ専門知識や実務能力と断言せず、何をしたかの言葉で残したい。
例えば、「家計管理が得意」と大きくまとめる前に、「支出の項目を見直すために、毎月の支払いを並べた」と書く。自分が確認できる行動なら、話の足場になる。結果がまだ出ていないことも、途中の記録として分けて置ける。
始めたが続かなかったことにも、分かった条件があるかもしれない。毎朝同じ時間は確保できなかった、声を使う作業は家の環境と合わなかった。続かなかった自分の反省だけにせず、次に何を選ぶときの材料になるかを見る。
覚えているつもりのことを、物から思い出す
何をしていたか浮かばないときは、予定表や自分のメモ、作った物などを見返してみる。そこには、今の気分だけでは忘れていた作業が残っている。何でも記録から掘り起こす必要はないが、最近の数週間だけでもきっかけになる。
買い物の比較メモがあれば、何に迷っていたかを思い出す。勉強のノートなら、どこで分からなくなり、どう調べ直したかを見る。家の作業表なら、使いにくくてどこを変えたか。完成品だけでなく、直した跡に自分の考え方が残る。
他人の個人情報や、前の勤務先の資料を見本として持ち出す必要はない。自分の行動を説明するために、他人の情報を借りなくてよい。内容を外へ出す場合には、公開できる物かを別に確かめたい。
何も形が残っていなくても、経験がなかったとは限らない。覚えている場面から一つだけ書く。分からない細部を話の勢いで埋めず、「そこは覚えていない」としておける。棚卸しは、自分を立派に見せる創作大会ではない。
生活の経験と、求人の条件は別の紙で考える
経験を思い出すと、「これなら採用されるだろうか」と気になるかもしれない。しかし、生活の中でしたことが、特定の仕事で求められる条件へそのまま当てはまるとは限らない。ブランクがどう見られるかも、応募先や職務などによって違う。ここで一律に有利や不利を決めることはできない。
応募を考えるなら、まず募集の条件を読み、必要な作業を確認する。自分の記録と照らし合わせ、経験として説明できる部分、練習が必要な部分を分ける。生活で似たことをしたから即戦力だと広げず、共通点と違いを具体的に見る方がよい。
例えば、人へ分かりやすく伝えるのが好きなら、短い説明の見本を作ってみる。練習の見本であることを明らかにし、実際の仕事の実績と混同しない。未経験の仕事を小さく試す考え方は、未経験からの選択肢でも確認できる。
自分の経験を話すときには、何をしたか、どこを工夫したか、今後どこを練習したいかを分けて言えると具体的になる。空白を全部埋めるための説明より、自分が今できることを落ち着いて確かめたい。
その期間の全部を、仕事へ換算しなくてよい。それでも、考えて決めたことまで「何もない」に戻す必要はない。
次の一週間に、小さな完成を置く
棚卸しが済んでも、すぐ働き方の結論を出さなくてよい。思い出したことから、次に一つ試す物を選んでみよう。説明を一枚作る、道具を使う作業を一回練習する、実際の募集条件を比べる。過去の評価ではなく、次の行動へつながる物がよい。
予定は、今の生活の中へ置く。以前仕事をしていた頃と同じ速度へ戻ろうとせず、現在どの時間なら使えるかを確かめる。まとまった時間が取れないなら、途中で止めて戻れる作業へ分ける方法もある。
終えた後には、上手にできたかだけでなく、どこで止まったかも残す。道具の操作なのか、情報不足なのか、予定の都合なのか。全部をやる気の問題にすると、次の試し方が分からなくなる。
できた物を外へ見せるのは、その後でもよい。まず、自分の行動が一つ増えたと分かることが大切だ。新しい一週間を、過去の空白を取り返す競争へしない。今の自分に合う進め方を見つける時間として使いたい。
誰かへ見せる前に、自分の記録の言葉を一度読んでみよう。「結局、家のことしかしていない」のように、最後で自分の行動を消す言葉が付いていないだろうか。家のことだった、休むことを優先した、という事実と、価値がないという評価は別だ。まず評価を外した文へ直すだけでも、何をしていたかが見える。
反対に、全部を前向きな表現へ飾る必要もない。「思ったほど続かなかった」「まだ決めていない」と書ける部分も残す。自分用の記録は、他人へ納得してもらうための広告ではない。今どこから始めるかを、自分が確かめるための地図である。
過去の一年を一日で説明しようとせず、今日は一場面で区切ってよい。そのくらいの大きさなら、思い出すことも次へ使うことも始めやすい。
誰かの迷いへ答える形も、選択肢の一つ
生活の中で調べたことを説明へ変える方法は、日常の経験から題材を探す記事でも紹介している。仕事の肩書きがない時期にも、自分がどこで迷ったかは残っている。それを、同じ条件の人へ読める案内に整えることはできる。
その案内をまとめたサイトから他社の商品やサービスを紹介し、条件を満たして承認された購入・申込などの成果に応じて報酬を得るアフィリエイトという方法もある。基本の仕組みを知れば、自分の商品を持たない事業として比較できる。ただし、記事の企画、制作、集客、更新が必要で、すぐ収入が出る約束ではない。全部を自分で作る以外に、専門会社へ企画や制作を依頼する道もある。
今日は、空いて見える期間の中から、一つの具体的な場面を拾ってみよう。大きな実績が出てこなくても構わない。自分が過ごした時間に、自分でも分かる言葉を置く。そのことから、次の活動の入口が見えるかもしれない。
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