家で「今日は例の処理が多くて」と話したら、「例の処理って何?」と聞き返される。説明しようとして、また別の略語が口から出る。気づけば仕事の話をするために、仕事の説明が必要になっている。社内では一言で済むのに、外では通じない。そんな経験はないでしょうか。

これは話が下手だというだけの話ではありません。職場の共通語に包まれたまま、自分の仕事を外へ持ち出そうとしているのかもしれません。その包みを少しほどくと、誰の何を助けていたのかが見えてきます。強みを探すとき、意外と使える入口です。

略語は便利。でも、仕事の中身まで省略する

同じ職場にいれば、「いつもの一覧」「締めの作業」「あの対応」で話は通じます。背景を説明せず、短い言葉で次へ進めるからです。忙しい場では必要な便利さでしょう。ただ、慣れすぎると、自分自身も、その作業が何のためにあるかを言わなくなります。

「一覧を作っていました」と言われた人が想像するのは、表に文字を入れている姿かもしれません。でも実際には、届く形式が違う資料を照合し、抜けている項目を確認し、次の担当者が迷わない順番に並べていた。これなら、話はかなり違います。

作業名を立派に言い換えようとして、急に難しい横文字を付ける必要はありません。それでは包み紙が変わるだけです。専門外の人に「つまり、こういうこと?」と言ってもらえるところまで、具体的に下ろします。仕事を小さく見せるのではなく、見える大きさにする作業です。

自分の仕事を、前と後で説明してみる

職場の名前や略語を使わずに説明するなら、作業の前後を比べると書きやすくなります。自分のところへ来た時は、何がどんな状態だったか。自分が作業した後、次の人は何ができるようになったか。この二つの間に、自分の仕事があります。

これは、ある特定の会社の実例ではなく、言い換え方の説明です。自分の仕事なら何になるか、当てはめてみてください。「何の係だったか」よりも、「何を受け取り、どう変えて、誰に渡したか」で書いたほうが、外の人にも役割が伝わります。

このとき、業務全体の成果を自分一人の実績にしないことも大切です。チームで改善したなら、チームの取り組みと自分の担当を分けます。売上や効率がどれだけ変わったか分からないなら、都合のよい数字を足さず、実際に行ったことを書く。それでも説明は十分に具体的になります。

「それをしないと何が困る?」を三回ほど聞く

自分の作業を説明しても、ただの雑用のように感じることがあります。そこで「その作業をしなかったら、誰がどう困るか」を考えてみます。書類をそろえなければ確認が止まる。表記をそろえなければ同じ物を別々に数える。案内を直さなければ、利用者が同じ場所で迷う。

仕事は、派手な成果を生むためだけに存在しているわけではありません。混乱を減らす、聞き直しをなくす、次の工程が動けるようにする。それも役割です。問題が起きないように動いていた人ほど、うまくいった日のことを覚えていないかもしれません。

質問を重ねるときは、無理に壮大な意味まで持ち上げなくて構いません。「会社の未来に貢献しました」と締めるより、「初めて担当する人が、確認する順番を選べるようにした」のほうが、何をしたかが分かります。話を盛るより、相手の目に映る場面を増やしましょう。

強みは、大きな言葉を付けた瞬間に生まれるものではありません。いつもの作業を、いつもの職場を知らない人にも説明できたところで、見つかることがあります。

社外の人に伝えると、説明の穴が見つかる

メモができたら、自分と違う仕事をしている人に話してみると面白い発見があります。略語をやめたつもりでも、業界の前提が残っていることがあるからです。「なぜそれを確認するの?」「その人はお客さんなの?」と聞かれて、初めて省略に気づきます。

質問されたら、知識不足を責める場ではありません。相手は、将来その説明を初めて読む人の代わりになってくれています。聞かれた箇所を足し、必要のない前置きは削る。自分の仕事を外へ翻訳する練習だと考えれば、聞き返されることも役に立ちます。

注意したいのは、分かりやすくするために社内資料をそのまま見せてしまうことです。顧客情報や契約、非公開の手順がなくても説明できるよう、自分で例を作ります。公開してよいか迷うものは持ち出さず、誰にでも起こり得る場面へ置き換えます。自分が作った資料でも、自由に公開できるとは限りません。

職歴の紹介から、読者の疑問への回答へ

ここまでの作業は、転職や自己紹介にも使えます。ただ、文章として公開するなら、もう一段、向きを変えると読みやすくなります。「私はこれをしていました」から、「これで困っている人は、最初に何を確かめればよいか」へ。主役を、自分の経歴から相手の疑問へ移すのです。

例えば、事務用品を選ぶ担当をしていたなら、自分が長く担当したという紹介より、少人数の職場で道具を選ぶ際の見落としを説明する。納品を確認していたなら、受け取る前にそろえる情報を示す。専門知識を全部載せるより、一つの迷いを解決する短い案内のほうが、最初の一篇には向いています。

文章が苦手なら、質問を三つ並べ、その下に口で話すように答えるところからでも始められます。きれいな結論を最後に付けることより、読者が知りたい順番に並んでいるかを見ます。自分には当たり前だった確認を一つ足すだけで、読み手が先へ進めることがあります。

言い換えを、実際に一つ作ってみる

「照合作業を担当」とだけ書いたメモがあるとします。ここへ「二つの資料で名前と数量が合うかを見て、違う箇所を次の担当へ伝える」と足してみます。すると、注意深く読むだけでなく、差を見つけて伝える仕事だったことが分かります。

さらに、「同じ名称でも単位が違うことがあったので、最初に単位を確認した」と書くと、本人の工夫が現れます。これは実際の勤務先の情報を出さなくても作れる説明です。自分の仕事にも、いきなり作業へ入らず最初に確認していた点がないか探してみましょう。一つの略語をほどくだけで、書く内容は増えます。

説明を残す場所を、自分で持つという選択

よくある疑問への回答がたまってきたら、同じテーマのWebサイトにまとめる方法があります。職場では聞かれた人にだけ渡していた説明を、検索している人へ届ける形です。会社名がなくても、具体的な条件と理由を示すことで、読者が自分に合うか考えられます。

その情報が商品やサービスの選択に関わるなら、他社商品を紹介し、購入や申し込みなどの成果が承認されたときに報酬を得るアフィリエイトも一つの収益方法です。自分の商品を作る方法とは異なりますが、公開するだけで収益になるわけではありません。紹介可能な案件の確認や、読む人を集める企画が必要です。

さらに、記事にする調査、サイトの制作、公開後の情報更新もあります。自分で担う部分と、専門会社に任せる部分は分けて考えられます。仕事の経験があるから技術まで一人で習得しなければならない、ということではありません。

ただし、その判断は「何を説明できるか」が見えてからでも遅くありません。今夜の作業は、社内用語を三つ選び、初めて聞く人向けに言い直してみることです。立派な職種名が出てこなくても、自分が受け持っていた困りごとは、少しずつ見えてくるはずです。

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