ネットショップとアフィリエイトは、どちらも商品を扱いますが、お金の出方も作業の中身も違います。ショップは売上から仕入れや送料を引いた残りが利益になり、アフィリエイトは売上に関わらず一件あたりの報酬だけが入ります。この違いが、必要な資金と作業量を分けます。

この記事では、同じ商品を扱ったと仮定して、両者を並べます。在庫がいらないから有利だ、という結論を出すためのものではありません。負担の種類が違うことを確認し、自分がどちらを引き受けられるかを考える材料にしてください。

1.仮の設定を置く

比較のために、架空の商品を用意します。販売価格8,000円の日用品で、仕入れ値が5,000円、送料が500円かかるとします。アフィリエイトの場合の報酬は、販売価格の10%にあたる800円とします。実在の商品でも実際の取引条件でもありません。

この条件で、1か月に10個売れた場合を比べます。売上や利益の計算方法を確かめることが目的なので、税や手数料は簡略化しています。実際に計画を立てるときは、決済手数料や返品分も入れて計算してください。

2.手取りを計算してみる

ネットショップアフィリエイト
売上80,000円(8,000円×10個)
仕入れ-50,000円
送料-5,000円
報酬8,000円(800円×10件)
手元に残る額25,000円8,000円
在庫の準備事前に50,000円が必要不要
売れ残ったとき仕入れ分が残る損失なし

同じ10個でも、手元に残る額は3倍以上違います。ショップのほうが多く残るのは、商品の調達と配送という仕事を自分で引き受けているからです。その代わり、売れる前に5万円を先に出しています。

売れなかった場合を考えると、差はもっとはっきりします。10個仕入れて3個しか売れなければ、ショップは在庫を7個抱えます。アフィリエイトは3件分の報酬が入るだけで、損失は出ません。先に出す金額の大きさが、そのままリスクの大きさです。

3.作業の中身を並べる

金額だけでなく、必要な作業も違います。同じ1か月の運営で、それぞれが何をするのかを並べます。時間の目安は仮の値で、商品や規模によって大きく変わります。

作業ネットショップアフィリエイト
商品の調達・在庫管理必要不要
商品ページの作成必要不要(記事は必要)
注文処理・梱包・発送注文のたびに必要不要
購入前後の問い合わせ対応必要記事の範囲のみ
返品・返金の判断必要不要
記事の企画と執筆任意必須
掲載条件の確認自社なので不要案件ごとに必要

ショップは、売れた後の作業が積み上がります。注文が増えるほど、発送と対応の時間も増えます。アフィリエイトは、売れた後の作業がほぼありません。その代わり、売れる前の作業、つまり記事を書くことにほとんどの時間が使われます。

ここから分かるのは、どちらも楽ではないということです。ショップは注文が増えると手が回らなくなり、アフィリエイトは記事を書き続けないと入口が増えません。負担が発生する場所が違うだけです。

4.価格を決められるかどうか

ショップは価格を自分で決められます。仕入れ値と利益を見て、値下げで数を取るか、価格を維持して利益率を守るかを選べます。セールを打つ、まとめ買いを用意する、といった手も使えます。

アフィリエイトには、この手段がありません。価格も特典も広告主が決めます。売れ行きが悪いときに打てる手は、記事の内容を変えることだけです。商品側の条件が変わるのを待つしかない場面もあります。

これは制約ですが、同時に判断の負担が減るということでもあります。価格設定は難しい仕事で、間違えれば利益が消えます。その判断を持たないぶん、記事に集中できるという見方もできます。

5.商品が売れなくなったとき

ショップの場合、売れない商品は在庫として残ります。値下げして処分する、扱いをやめる、といった判断が必要です。判断が遅れるほど、保管や資金の負担が続きます。

アフィリエイトの場合、売れない商品は報酬が発生しないだけです。ただし、その商品を紹介するために書いた記事は残ります。広告主が販売を終了すれば、リンク先がなくなり、記事の修正が必要になります。

仮の例:紹介していた商品が終了した場合

  • その商品を中心に据えた記事が5本あるとする。
  • リンクの差し替えだけでは済まず、本文の説明も書き直しになる。
  • 代わりの商品が見つからなければ、記事の役割そのものを変えることになる。
  • 在庫の損失はないが、書いた時間は戻らない。

つまり、アフィリエイトにも失うものはあります。失うのは在庫ではなく、書いた時間です。一つの商品に依存した記事構成を避けるのは、このためです。

6.どちらを選ぶかの考え方

選び方は、有利不利ではなく、引き受けられる負担で考えます。次の質問に答えてみてください。

上の三つに問題がなければショップも選べます。下の二つに耐えられるならアフィリエイトが向きます。両方とも難しい場合は、どちらを選んでも苦しくなるので、確保できる時間と資金から先に見直すことになります。

自分で始める場合に必要な費用の内訳は、アフィリエイトを自分で始める費用はいくら?初期費用と更新費用を分けて考えるで詳しく解説しています。

7.接客の形も違う

ショップでは、購入前の質問に答えることが売上に直結します。在庫の有無、色違いの取り寄せ、配送日の相談。一件ずつ答えることで、迷っていた人が決めることがあります。その代わり、対応の時間がかかります。

アフィリエイトの記事には、この個別対応がありません。読者が迷っても、その場で質問できる相手がいません。そのため、迷いそうな点をあらかじめ本文に書いておく必要があります。書き漏らした部分は、そのまま離脱になります。

言い換えると、ショップは後から補える接客を、アフィリエイトは先回りして本文に入れておく形です。先回りするには、読者がどこで迷うかを知る必要があります。これが、記事を書く前の調査にあたります。

なお、アフィリエイトでも問い合わせを受けることはあります。ただし答えられるのは記事の内容についてだけで、注文や配送の相談は販売元へ案内することになります。

8.利益率の考え方

ショップの利益率は、仕入れ値と販売価格の差で決まります。仕入れを工夫すれば改善できますし、単価の高い商品を扱えば一件あたりの利益も増えます。自分の努力が数字に反映される部分があります。

アフィリエイトの報酬率は、広告主が決めます。交渉の余地がある場合もありますが、始めたばかりの段階では提示された条件をそのまま受けることになります。改善できるのは、件数のほうです。

したがって、伸ばし方の方向が違います。ショップは一件あたりを大きくする方向にも進めますが、アフィリエイトは件数を増やす方向が中心になります。記事を増やす、読まれる記事を作る、という作業がここに対応します。

9.併用という選択肢もある

将来的には、自分の商品を売りながら、他社の商品を紹介することもできます。ただし、始める段階で両方に手を出すと、どちらも中途半端になりやすくなります。先に一方で進め方を身につけるほうが現実的です。

併用する場合は、どちらの立場で書いているのかを読者に分かるようにします。自社の商品を勧める文章と、他社の商品を比較する文章が同じページに混ざると、読者はどこまで公平な説明なのか判断できません。ページを分けるか、立場を明示するかのどちらかが要ります。

また、自分の商品と競合する他社商品を紹介する場合、比較の書き方に注意が必要です。自社に有利な条件だけを並べれば、読者は気づきます。比較しないという選択も含めて、無理のない形を選んでください。

どちらを選ぶにしても、共通して必要なのは、読者が判断できる情報を用意することです。商品を持っているかどうかで変わるのは、その後の工程です。最初に取り組むのは、誰の何を解決するのかを決める作業になります。

この作業を飛ばして始めると、ショップなら売れない在庫が残り、アフィリエイトなら読まれない記事が残ります。形は違っても、行き詰まる原因は同じ場所にあります。

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