情報を集めることは、事前の準備として正しい行為です。調べずに始めれば、避けられた失敗もします。
ただ、集める行為には終わりがありません。調べれば調べるほど、まだ知らないことが見つかります。そして新しい手法は次々と紹介されます。
問題は、集めた情報が多いほど判断しやすくなるとは限らないことです。むしろ、確かめる作業を情報収集が置き換えてしまう場面があります。
調べることは、確かめることではない
「この方法は効果があるのか」という疑問に対して、取れる行動は二つあります。
二つの確かめ方
- 他の人の説明を読む 数分
- 自分の媒体で試す 数週間
手軽なのは前者です。しかも、読んでいる間は前に進んでいる感覚があります。
調べる作業が、実際に試す作業の代わりになってしまうことがあります。他人の環境で有効だったという情報は参考にはなりますが、自分の媒体で同じ結果になるかどうかは、試すまで分かりません。
前提の違う手法を、同時に取り入れると
集めた手法をまとめて実行すると、別の問題が起きます。
例えば、記事の構成を変え、内部リンクを張り替え、タイトルの付け方を変え、公開頻度も上げたとします。一か月後、順位が上がりました。
- 構成の変更が効いたのか
- 内部リンクが効いたのか
- タイトルが効いたのか
- 公開頻度が効いたのか
- あるいは外部環境の変化だったのか
どれが原因か分かりません。結果が良かった場合でも、次に再現できないという点では同じです。
異なる前提の手法を同時に採用すると、何が成果に影響したのか分からなくなります。
手法にはそれぞれ前提がある
紹介されている方法には、明示されていない条件がついていることがあります。
書かれにくい前提
- すでに一定の運営歴がある媒体で行った
- 外注できる予算があった
- その市場では競合が少なかった
- 紹介していた商品の条件が良かった
これらが揃っている状態での結果を、条件の違う媒体にそのまま持ち込んでも、同じようには動きません。
手法を集めるときは、方法そのものと同じくらい、それが有効だった条件に注目したほうが役に立ちます。
想定例:三か月で五つの手法を試した場合
考え方を整理するための想定例です。特定の媒体の事例ではありません。
三か月の変更履歴
- 1か月目 構成を変更
- 1か月目 タイトル形式も変更
- 2か月目 内部リンクを再設計
- 2か月目 記事の文字数方針を変更
- 3か月目 公開頻度を倍に
三か月後、数字はほとんど変わりませんでした。この場合、五つの手法すべてが無効だったのか、有効なものと逆効果のものが打ち消し合ったのかは判断できません。
一方、一つずつ試していれば、三か月で三つの結論が出ていた可能性があります。時間はかかるように見えて、判断材料は多く残ります。
一度に変えるのは一つ、という原則
検証の基本は単純です。変更点を一つに絞り、結果を記録します。
試すときの手順
- 変えるものを一つ決める
- 何がどう動けば効果ありと判断するかを先に決める
- 実行して、日付とともに記録する
- 期間を決めて結果を見る
- 採用するか、元に戻すかを決める
2番目を先に決めておくのが重要です。結果を見てから基準を考えると、都合よく解釈してしまいます。
すべての記事で試す必要もありません。数本のページで試して、効果が確認できたものだけを横に広げるほうが、失敗した場合の影響も小さく済みます。
結果が出るまでの期間を、手法ごとに見積もる
一つずつ試すと決めても、いつ判断するかを決めていないと、結局どれも中途半端に終わります。手法によって、効果が見えるまでの期間は違います。
判断までの目安を分けて考える
- タイトルの変更 比較的短期
- 導線・内部リンクの変更 比較的短期
- 記事構成の変更 中期
- サイト全体の方針変更 長期
短期で判断できるものから試すと、検証の回数を増やせます。長期の変更を先に始めると、その間ほかの検証ができなくなります。
ただし、訪問数が少ない段階では、どの期間でも差が見えにくくなります。数字が動かないときは「効果がなかった」と結論づける前に、判断できるだけの母数があるかを確認してください。
集めた情報の整理の仕方
読んだ内容をそのまま保存していると、必要なときに探せません。試す前提で整理しておくと、実行に移しやすくなります。
- 手法の名前ではなく、解決したい課題で分類する
- その手法が有効だった条件を一緒に記録する
- 自分の媒体に当てはまるかどうかを一言添える
- 試した場合は、日付と結果を同じ場所に残す
課題で分類しておくと、詰まったときに参照できます。「順位が上がらない」「クリックされない」「比較ページへ進まない」といった見出しで並べておけば、必要な場面で候補を取り出せます。
試した結果まで同じ場所に残しておけば、それ自体が自分の媒体に固有の判断材料になります。他人の情報を集めた段階から、自分の記録に変わっていきます。
情報収集を止める必要はない
ここまで読むと、調べること自体を否定しているように見えるかもしれません。そうではありません。
知らずに進めて後から大きく作り直すことになれば、そのほうが時間の損失は大きくなります。特に、広告表現のルールや、扱う商材に関わる規制については、事前に知っておくべきことがあります。
問題は「調べることで試した気になること」であって、情報を集めること自体ではありません。
また、必要な情報量は状況によって変わります。まったく初めての分野では準備に時間をかける価値がありますし、すでに経験がある分野では試しながら学ぶほうが早い場合もあります。他人の学習量を基準にせず、自分が今どの判断で止まっているかを見てください。
集めた情報を、試す予定に変える
手元にある「良さそうな手法」を一覧にしてみてください。そのうち、実際に自分の媒体で試したものはいくつあるでしょうか。
試していないものが多いなら、次に必要なのは新しい情報ではありません。一覧から一つ選び、いつ試すかを決める。それだけで、集めた情報が判断材料に変わり始めます。
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