「本当にやりたい仕事は何ですか」。聞かれると、急に自分の人生へ企画書が必要になった気がする。好きなことはあっても、仕事の名前が浮かぶわけではない。立派な夢を持っている人の話を聞くほど、自分だけ提出用紙が白いように見える。
やりたい仕事が分からないとき、無理に夢を作る必要はない。逆向きに、前に嫌だった場面から、次に確かめたい条件を探す方法もある。嫌いなことだけで人生を決める話ではなく、自分の暮らしとぶつかった部分を、少し具体的に見る話だ。
仕事が嫌だった、を一日の場面へ戻す
前の仕事を思い出すと、全部が嫌だったように感じることがある。その気持ちを否定せず、覚えている一場面へ小さくしてみよう。何時頃、何をしていて、どこで負担を感じたのか。会社や職種の名前だけでは見えない違いが出てくる。
例えば、作業そのものは嫌いではなかったが、終業間際に予定が変わるのが困った。人と話すのは平気でも、大勢の前で即答を求められるのがつらかった。長く立つより、休憩の時刻が読めないことが負担だった。似た「嫌」でも、次に見る条件は変わる。
誰かの性格の評価だけで終わらせない方が、仕事選びへ使いやすい。「あの人が嫌だった」から、「質問してよい時間がなく、確認できないまま進めたことが困った」と場面へ直してみる。相手を正当化するためではなく、自分が次に確認できる形にするためだ。
思い出すのが大きな負担になるなら、無理に細部を掘らなくてよい。今の生活で避けたい条件を一つ書くだけでも始められる。過去を全部説明できるまで、次のことを考えてはいけないわけではない。
場面の横に、条件の言葉を置いてみる
嫌だった場面が一つ出たら、その横へ「何が違えば少しよかったか」を書く。予定を早めに知りたかった、質問先が決まっていてほしかった、長い移動を減らしたかった。これが、次に調べるための条件になる。
ここで反対の職種へ飛ぶのは、少し待ちたい。接客が大変だったから一人でできる仕事なら何でもよい、とすると、今度は相談相手がいない負担へ出会うかもしれない。嫌だった場面の反対が、自動的に好きな仕事になるとは限らない。
条件には、作業内容、時間、場所、連絡の仕方、役割の範囲などがある。自分のメモを分類してみると、仕事そのものより、進め方に合わない点が多かったと分かる場合もある。一つの経験だけで、同じ職種全部を決めつけずに済む。
「自由な仕事がよい」とまとめたくなったら、何を自由にしたいかまで具体化する。開始時刻か、作業の順番か、働く場所か、受ける量か。自由という大きな袋の中へ全部入れると、求人や依頼の条件と比べられなくなる。
外せない条件と、できれば欲しい条件を分ける
条件を書き出すほど、全部満たす仕事はない気がしてくる。そこで、どうしても必要なことと、あると嬉しいことを分けてみよう。生活上の都合で対応できない時刻と、好みとして避けたい作業は、同じ重さではない。
例えば、ある時刻には家族の用事があり対応できないなら、それは応募前に確認する必要がある。一方で、朝は少しゆっくりしたいという希望なら、別の条件と合わせて考えられるかもしれない。人によって優先順位は違うので、他人の理想の働き方を借りなくてよい。
条件の理由も短く添えたい。移動を減らしたいのは、疲れるからか、時間が足りないからか、交通手段が合わないからか。理由が違えば、在宅以外にも近い職場や出勤回数の調整など、確認したい選択肢が変わる。
すべてに理由を書けなくても構わない。ただ、理由が分かる条件から先に見ると、仕事の名前を眺めるだけより候補を比べやすい。最初から完璧な優先順位表を作らず、実際の条件を見ながら直していけばよい。
募集の言葉へ、自分の条件を当てて質問する
「アットホーム」「裁量がある」「好きな時間に」。働く場所を探すと、幅のある言葉をよく見る。よさそうに感じても、自分が嫌だった場面が起きない保証にはならない。具体的な進め方を確認する必要がある。
予定変更が苦手だったなら、担当や締め切りがどう決まるかを聞く。確認できず困ったなら、質問や相談の先を確かめる。即答の会議が負担だったなら、事前に資料を読めるか、普段の連絡は何を使うかを見る。聞ける範囲で、実際の仕事へ近づけていく。
ただし、質問した一回ですべてが分かるわけではない。説明と実際が違うこともあるし、自分も経験して初めて分かる条件がある。見本の作業や短い試行ができる場面なら、どこで止まりそうかを確かめる材料になる。
仕事の種類を広く見るときは、働き方の比較も使える。職種の順位をそのまま自分の順位へせず、必要な作業と時間を読むための入口にしたい。在宅を考える場合も、在宅の仕事の条件を、自分の希望と照らし合わせて確認する。
「この仕事が好きか」をすぐ答えられなくても、「この進め方なら確かめたい」は言える。小さな条件から、次の選択へ進める。
嫌ではなかった場面も、一つ拾う
避けたいことだけを書いていると、最後にはどの仕事も候補から外れそうになる。そこで、同じ経験の中から、嫌ではなかった場面も一つ探してみよう。楽しかったとまで言えなくても、続けられた作業、少し気になって調べたことがあるかもしれない。
人前ではうまく話せなかったが、一人で資料をまとめる時間は落ち着いた。注文の確認は大変だったが、相手が迷っている条件を整理するのは好きだった。大きな夢の代わりに、こうした小さな向き方を残しておく。
それが仕事になるかは、別に確かめる必要がある。好きだからすぐ収入になるわけでも、得意だから続けたいとは限らない。それでも、次に試す作業を選ぶときの手がかりにはなる。目標の職種が決まるまで、何もできないわけではない。
一回試して合わなかったら、条件のメモを直す。最初の自分探しに失敗したのではなく、知らなかった情報が一つ増えたと考えたい。自分を一つのタイプへ分類し、そこから一生動かない計画にしなくてよい。
条件のメモは、誰かへ自分を説明するときにも使える。「人と関わる仕事は無理」と広げず、「長い即答のやり取りより、一度確認して返す作業を試したい」と話せる。できないことの宣言だけでなく、今確かめたい進め方として伝わる。
将来好きになれそうな仕事を、一度の相談で見つけなくてもよい。今週調べる候補を二つに絞るくらいの使い方でも、メモは役に立つ。大きな目標の代わりに、次の検索で見る条件を一つ変えてみよう。
自分が困った条件を、誰かの案内へ変える道
条件を整理するのが面白いなら、人が物やサービスを選ぶ説明を作る活動も考えられる。自分が嫌だった働き方をそのまま発信するのでなく、「何を先に確認すればよかったか」と問いへ直す。相手や会社を特定する話へせず、判断の材料として残せる範囲を選びたい。
商品やサービスの案内をサイトへまとめ、紹介リンクを通じた購入・申込などが条件を満たして承認された成果に応じて報酬を得るアフィリエイトという方法もある。仕組みを知るところから、今まで知らなかった事業の選択肢として比較できる。
ただ、説明することが好きでも、サイトの企画、制作、集客、更新は別に必要になる。自分で全部作る以外に、専門会社へ企画や制作を任せる道もあるが、費用と作業を理解して考えたい。嫌な仕事からすぐ抜け出す答えとして、収入を約束できるものではない。
やりたい仕事の名前がまだなくても、今日は一つの場面を書ける。何が嫌で、どう違えば少しよかったか。その短い言葉は、白いままだと思っていた用紙へ、自分の条件で書ける最初の一行になる。
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