記事を1本増やせば、その分だけ売上も増える。感覚としては自然な考え方です。

実際、立ち上げ直後はそのとおりに動くこともあります。ページがほとんどない状態から10本、20本と増やせば、検索から届く経路も比例して増えていきます。

ただし、この関係はどこかで崩れます。50本を超え、100本を超えたあたりから、1本追加したときの効果が明らかに落ちてくる。ここで「まだ本数が足りないのだ」と解釈すると、効かない作業を延々と続けることになります。

追加した記事が、いつも新しい読者を連れてくるとは限らない

記事を追加したときに起きることは、大きく三つに分かれます。

本数を目標にして書き続けると、二つ目と三つ目の割合が増えていきます。書きやすいテーマから先に手を付けるため、後半になるほど既存記事と近い内容になりやすいからです。

追加する記事の需要が小さかったり既存記事と競合したりすれば、ページが増えても売上は増えません。増えたのは公開本数だけ、という状態になります。

同じテーマの記事が並ぶと、評価が分散する

似た内容のページが複数あると、検索エンジンはどれを代表として扱うか判断する必要があります。

分散が起きている状態

  • 「◯◯ 選び方」 中位
  • 「◯◯ 比較」 中位
  • 「◯◯ おすすめ」 中位

3本とも中位にとどまり、どれも上位に届かない。それぞれ独立した記事として書いたつもりでも、読者が知りたい内容が重なっていれば、実質的には同じページが3枚あるのと変わりません。

この場合に必要なのは4本目ではありません。3本を1本にまとめ、内部リンクを集約したほうが、順位も読者の使い勝手も改善します。増やすほど強くなる、という前提が当てはまらない場面があります。

ページが増えると、維持する仕事も増える

見落とされやすいのが、公開後に発生し続けるコストです。記事は作った時点で完成せず、置いておくだけで少しずつ古くなります。

10本なら手作業でも確認できます。300本になると、点検だけで相当な時間がかかります。ここに手が回らなくなると、古い情報を載せたページが増え、媒体全体の信頼が下がっていきます。

つまり記事は、増やせば増やすほど利益が積み上がる一方の資産ではありません。維持する手間も同時に増える性質を持っています。

1本あたりの効果は、途中から必ず落ちる

収益に近いテーマから書き始めるのが自然なので、後から追加する記事ほど収益からは遠くなります。

追加する順番と収益への距離

  1. 比較・申込に直結する記事(最初に書く)
  2. 商品選びの周辺にある記事
  3. 関連する基礎知識の記事
  4. テーマから離れた集客用の記事

4番目まで来ると、アクセスは増えても申込には結びつきにくくなります。それ自体は悪いことではありません。問題は、1番目と4番目を同じ「1本」として数えてしまうことです。

本数で管理すると、この差が見えなくなります。収益への距離が違う記事を同じ単位で数えている限り、何本書けばいくらになるという計算は成り立ちません。

想定例:本数だけが増えていく状態

考え方を説明するための想定例です。実在するサイトの数値ではありません。

半年間で100本追加した場合

  • 公開記事 50本 → 150本
  • アクセス 増加
  • 比較ページへの移動 ほぼ変化なし
  • 申込 ほぼ変化なし

この状態で起きているのは、収益から遠い記事だけが増えたということです。アクセスという数字は改善しているため、うまくいっているように見えてしまいます。

本来やるべきなのは、増えたアクセスを比較ページへ送る案内を作ることです。100本追加する労力の一部をそちらへ回すだけで、結果は変わっていた可能性があります。

増やすべきか、まとめるべきかの見分け方

すでに一定の本数があるサイトでは、次の1本を追加する前に、既存記事を整理したほうが効果が大きい場合があります。判断は難しくありません。同じ疑問に答えている記事が複数あるかどうかを見るだけです。

重なっている記事が見つかったら、内容の厚いページへ統合し、残りはそこへ案内を集めます。ページ数は減りますが、1ページあたりの情報量と内部リンクが集まるため、評価は上がりやすくなります。

逆に、まだ誰も答えていない疑問が残っているなら、そこは追加する価値があります。増やすかまとめるかは方針の問題ではなく、既存の状態を見て決めることです。

成果の出ていない記事をどう扱うか

本数を増やしてきたサイトには、ほとんど読まれていない記事が必ず出てきます。この扱いに迷う人は多いはずです。

増やすこと自体が悪いわけではない

ここまで読むと、記事を増やすべきではないという話に見えるかもしれません。そうではありません。

テーマ全体を扱う媒体を目指すなら、一定の本数は必要です。読者の疑問は一つではなく、入口が多いほど接点も広がります。網羅性が競争力になる分野も確かにあります。

問題は「本数と売上が比例する」という前提であって、記事を増やすこと自体ではありません。

また、どの段階で効果が鈍るかは、テーマの規模、競合の状況、紹介する商品によって変わります。他のサイトが300本で成果を出したという話は、その媒体の条件での結果です。自分の媒体でも同じ本数が必要とは限りません。

増やす価値を説明できる記事から増やす

次の1本を書く前に、その記事を追加する理由を一文で説明してみてください。

「どんな読者の、どの疑問に答えるのか」「既存のどの記事とも重ならないと言えるのか」「読み終えた読者はどこへ進むのか」。この三つに答えられるなら、その1本は媒体の中で役割を持ちます。答えられないなら、書く前に企画を見直すほうが早く進みます。

増やす価値を説明できる記事から増やす。この基準を置くだけで、同じ作業時間でも積み上がり方が変わります。

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